サケやマスを養殖し、「ご当地サーモン」として売り出す動きが広がっている。 きっかけの一つが、東日本大震災で出荷先を失ったニジマスの稚魚を香川県で受け入れて育てたところ、成功したことだ。新規参入は相次ぎ、少なくとも27都道府県でブランド化が進む。生食人気で需要が高まる中、各産地は差別化を図るため、知恵を絞っている。 ■かんきつ類 愛媛県八幡浜市の宇和海に浮かぶいけすに1月、長野県産のニジマスの幼魚約2600匹が放たれた。マダイやブリの全国有数の養殖地だが、年末年始に集中する出荷の後、いけすが春まで空になる。この期間の「裏作」を定着させようと、愛媛県は2016年度から主導してニジマス養殖に取り組む。 餌に特産のかんきつ類の成分を混ぜ、約400グラムの幼魚を2キロほどに育てる。臭みがなく爽やかな香りが特徴といい、4月頃の初出荷を目指している。 愛媛県内では約2年前、養殖会社「宇和島プロジェクト」