アングロサクソン型資本主義が失敗したと安易に決めつけるのは、ポピュリスト的な議論としては分かりやすいだろうが、本質を突いていない。 今回の金融危機を、規制緩和や市場の失敗のみに責めを帰することはできない。ウォール街の金融機関が暴走していたことは疑いないが、これと両輪をなすのが、むしろ、当局の失敗、政治の失敗である。 たとえば、震源地の一角を担った政府系住宅金融機関(GSE)のファニーメイとフレディマックは、米国金融界でもっとも規制が強い分野であり、持ち家比率を向上させるという政策意図を持って活動してきた。政治的な意図を持って銀行を経営し、社会政策としてより広い層へ融資を拡大することがもたらす弊害は、米国のみならず、最近ではわが国の某都でも見られたのではないか。 住宅バブルを無視して低金利政策を続けてきたFRBの責任も小さくないだろう。政策の失敗が、中国や産油国による外貨準備の積み立てを増や