この本で、翻訳者の岸本佐知子さんが指摘している「柴田元幸は七人いるのだ説」が、いよいよ真実味を帯びてきているようにおもう。わたしのなかで「二大よく働く人」として、ウッディ・アレンと柴田元幸がいるが、それにしても柴田さんの仕事量はとてつもないものがある。もちろん尊敬する柴田さんであるから、わたしなりに、彼の仕事は必死でフォローしている。ところが、読むスピードが、彼の訳す速度に追いつかない。書店にいくたびに、あたらしい本が並んでいる。彼はいったい、いつ寝ているのだろうか。 このところ、柴田さんの編んだアンソロジーなどもいくつか出版され、ぜひ読みたいのだが、勢い込んで買ったところで家に未読本が増えてしまうだけだし、どうにか手持ちの未読本を片づけてから、とおもっていると、また次の翻訳書がでてしまう。この本は、柴田さんが小説家や批評家たちに対しておこなったインタビューをまとめたもので、パワーズ、ダイ