訳者あとがきに従えば、グッドマン哲学は、「ヴァージョンの複数性」「非実在論」「根本的相対主義」ということになる。 ヴァージョン=世界である。 グッドマンは文字通り、世界は作られるものであり、そして多数の世界=ヴァージョンがあると考えている。しかし、再三繰り返されているとおり、それは可能世界論ではない。彼が想定しているのは、現実世界だけであり、複数の可能世界ではない。 ニュートン以前の学者とニュートン以後の学者は別の世界に住んでいる、というクーンのパラダイム論にも、ある意味では似ている。 パラダイム論に対しては、ニュートン以前とニュートン以後で語彙の意味が変わっているとしても、それは翻訳可能なのだから、それらを繋ぐ共通の何かがあるはずだ、という反論がある。 グッドマンは、世界制作とは作り直しのことである、と主張する。 世界制作とは、以前あった世界を再構成していくことなのである。その点では、パ
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