タグ

ブックマーク / sakstyle.hatenadiary.jp (10)

  • 内井惣七『進化論と倫理』 - logical cypher scape2

    上とあわせて、今日は進化論漬け。 それにしても、ダーウィンはすごいなあと思う。 20世紀の天才はアインシュタインだとして、19世紀の天才は間違いなくダーウィン。 進化論は、ダーウィン以後様々に改訂されてきたし、そもそもダーウィンは分子生物学はおろかメンデル遺伝学すら知らなかったわけなのだが、それでも基的な考えとしては彼の考えは全く間違っていないばかりか、現代の生物学や生物学哲学に対しても示唆を与えるようなことを述べている。 分からないところは、正直にわからんと述べているし。 さてこのは、いわば進化論的知見から倫理というものをどのように考えるか、というものである。 第一部ではダーウィンそのものの著作が取り上げられる。 生物学者の書く入門書では、ダーウィンの著作そのものから引用されることはほとんどない気がする。ダーウィンの「考え」は引用しても、ダーウィンの「書いたもの」は引用されないという

    内井惣七『進化論と倫理』 - logical cypher scape2
  • イアン・ハッキング『表現と介入』 - logical cypher scape2

    科学的実在論を扱った、科学哲学の。 タイトルにあるとおり、書は大きく分けて、表現についてと介入について扱っている。 この場合、表現というのは、科学の理論のことであり、介入というのは、実験や観察や測定のことである。 従来、哲学者があまり注目してこなかったであろう、実験に関しての哲学的考察でもある。 まず、ハッキングは、科学哲学のトピックを大きく二つに分ける。 すなわち、合理性と実在論に、である。 この両者は完全に区別できるわけではないが、書では扱われるのは実在論についてであり、合理性については扱われない。 続いて、科学的実在論についても、大きく二つに分ける。 それは、理論に関する実在論と存在に関する実在論である。 理論に関する実在論は、理論というのは真理を目指すものであり、また、正しい理論は真理であると考える。 存在に関する実在論は、理論的存在が実在していると考える。 理論に関する反実

    イアン・ハッキング『表現と介入』 - logical cypher scape2
  • 伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』 - logical cypher scape2

    クリティカルシンキングについての入門書であると同時に、哲学の、特に懐疑論に関する(多分)最新の議論が紹介されているので、色々と読み甲斐のある。 序にて『だめんず・うぉ〜か〜』から、西洋哲学を専攻している男と付き合っている女性に対する、「実社会にまぁったく役に立たない学問の最高峰だあっ」というコメントが引用されている。 このは、それに対する反論というわけでもないが、哲学を学ぶことによって得られるスキルの一つとしてのクリティカルシンキングを紹介するということになっている。 まあ、哲学が実社会に役に立たないのはある面では全くその通りで、哲学なんていうのは一部の物好きのための学問だと僕は思っている。 しかしその一方で、『哲学者は何を考えているのか』のジョン・ハリスの章を読んだりすると*1、役に立つこともあるんじゃないかと思ったりする。あるいは、デネットの仕事などもそうだが、要するに議論の交通整

  • 橋元淳一郎『時間はどこで生まれるのか』 - logical cypher scape2

    このは熱い! 200ぺージもない、薄いだが、哲学的熱意(?)がこもっている。 何が熱いかというと、物理学について語りながらも、自らの哲学的立場をかなり強調していること*1。 性質が実在するか、ということは、長らく哲学的議論の的となっていたわけで、いまだに続いている。 そもそも、性質が実在するかどうか、という問い自体が、僕にとっては非常に分かりにくいのだけど、しかし、モノが性質の束であると考えるのであれば、結構重要な問題かもしれない。 それはともかく、性質が実在するかという問いに対して、大きく分けて、実在論と経験論という2つの立場が在りうる。 科学哲学の世界では、この対立というのはなかなか盛り上がるわけだけど、現役の物理学や自然科学の世界で、この対立がどれくらい重要視されているのかよく分からない。というか、あまり問題にされていない気がする。個人的な勝手なイメージとしては、物理学者は潜在的

  • 『ドーキンスvsグールド』キム・ステルレニー - logical cypher scape2

    薄いのだけれど、とても密度の濃い、科学啓蒙書。 これまた作者は哲学者。 『自由は進化する』について書いたときも書いたけれど*1、現在の哲学者の仕事というのは、何らかの思索というよりは、様々な科学の学説の整理という面が強くなってきているように思う。 そしてそこからは、個別的、専門的にやっているのでは見えてこない(かもしれない)問題点も発見されるのだろう。 ドーキンスのは、結構前に『利己的な遺伝子』を読んでおり、また『自由は進化する』といったデネットのも読んでいたけれど、一方でグールドの方はほとんど知らない状態だった。 非常によくまとめられているなのだとは思うけど、グールド側の主張について全く知らないような状態だったので、やはりまだグールドの方の主張についてはよく分からない部分が多いなあという感想はある。 ただ、それをいえば、ドーキンス側の主張の中にも、まだ理解できていない部分はあるのだ

    『ドーキンスvsグールド』キム・ステルレニー - logical cypher scape2
  • 野家啓一『増補科学の解釈学』 - logical cypher scape2

    論文集なので、章ごとの独立性が結構高いけれども、大きくは3つの部分に分けられている。 すなわち 第一部科学哲学の構造転換 第二部「知識の全体論」をめぐって 第三部ウィトゲンシュタインの問題圏 である。 第一部 新科学哲学、すなわち、論理実証主義的な科学哲学に対する、ハンソン「観察の理論負荷性」、クーン「パラダイム論」、「デュエム・クワインのテーゼ」などによる批判*1によって始まった科学哲学を基盤にして、「科学の解釈学」を素描する試み。 全体論や概念枠というものを肯定的に捉え、決定実験とか中立的な観察言語とかそういうものは認めない。 一方で、それが単なる相対主義に陥らないために、<自然性>ないし「生活世界のアプリオリ」という概念を導入する*2。 解釈学という名の通り、科学というのは自然というテクストを解釈していく営みだと考える。 また、従来の科学史の語られ方や科学のあり方が、ビルドゥングスロ

    野家啓一『増補科学の解釈学』 - logical cypher scape2
  • グッドマン『世界制作の方法』 - logical cypher scape2

    訳者あとがきに従えば、グッドマン哲学は、「ヴァージョンの複数性」「非実在論」「根的相対主義」ということになる。 ヴァージョン=世界である。 グッドマンは文字通り、世界は作られるものであり、そして多数の世界=ヴァージョンがあると考えている。しかし、再三繰り返されているとおり、それは可能世界論ではない。彼が想定しているのは、現実世界だけであり、複数の可能世界ではない。 ニュートン以前の学者とニュートン以後の学者は別の世界に住んでいる、というクーンのパラダイム論にも、ある意味では似ている。 パラダイム論に対しては、ニュートン以前とニュートン以後で語彙の意味が変わっているとしても、それは翻訳可能なのだから、それらを繋ぐ共通の何かがあるはずだ、という反論がある。 グッドマンは、世界制作とは作り直しのことである、と主張する。 世界制作とは、以前あった世界を再構成していくことなのである。その点では、パ

    グッドマン『世界制作の方法』 - logical cypher scape2
  • 小島寛之『数学でつまずくのはなぜか』 - logical cypher scape2

    やっぱり分かりやすい。 学校で習ったのとは違う方法だったり、あるいはその背景にある歴史的経緯に触れているところがとてもよかった。 前著『文系のための数学教室』でもそうだったけど、微分積分を分かりやすく説明してある。前著では積分がメインで、今回は微分がメイン。 微分積分というのは、何だか近代科学の考え方を示しているような気がして面白いなあなどと個人的に思っているのだが、まあそれはさておき、面白かったのは、整合的な微分法が出来る前の、フェルマーによる、プレ(?)微分の話。 フェルマーは超微少量というのを導入したのだが、これの扱いが全くもって矛盾しているのである。これは当時、「魔法の算術」と捉えられていたが、デカルトもニュートンもライプニッツも平気で使っていたとか。 あるいは幾何の話。 論証をセットで行うギリシア式の幾何と、図形の見たままの事実をそのまま扱うバビロニア式の幾何があるらしい。 多く

    marcello
    marcello 2008/02/01
    面白そう。
  • 三中信宏『系統樹思考の世界』 - logical cypher scape2

    久しぶりに新書を買って読んだ気がする。 06年ので、既にある程度話題のになっていたっぽいが、なかなかいいタイミングで読むことができたなあと思った。 著者は、進化生物学を専門にしている*1ので、このはまずは進化論のといえる。 だが、いわゆる進化論の話が書いてあるのではなくて、進化論によってもたらされた「考え方」について書いてある。それが、タイトルにもなっている「系統樹思考」である。 そしてこのの面白いところ(であり、かつこのの構成を複雑にしているところ)は、「系統樹思考」そのものについてと、それによってできることを両方とも書こうとしているところだ 一挙両得となっているのか、それとも二兎を追う者は一兎をも得ずとなっているのかは、評価が分かれるところかもしれない。 著者は、系統樹思考は生物学以外の分野にも広く行き渡っている(少なくともそれが可能である)ということを論ずる。 それゆえ、

    三中信宏『系統樹思考の世界』 - logical cypher scape2
  • ダニエル・デネット『自由は進化する』 - logical cypher scape2

    非常に面白かった。 基的な方向性としては、僕はデネットとそれほど違わないので「マジかよ」みたいな衝撃というか新しい発見はないけれど、勉強になった部分はかなりあった。 何か長くなったので、目次。 内容と関係ない感想 前提 このは哲学のか科学のか 進化論について 内容 決定論と因果律は異なる(両立主義) 視点位置の変更ないし志向システムとして捉えること 延長のない実体を想定しないこと ゲーム理論と感情 スキナー型生物、ポパー型生物、グレゴリー型生物とミーム 自己認識 政治とか社会設計とか で、結局自由とは何か、山形浩生が一言で答える 哲学者のはまりがちな罠 内容と関係ない感想 勉強になった部分は、後で書くので、最初に内容とは関係のない感想を。 まず文体。このことに関しては、瀬名秀明に同意 翻訳は山形浩生。この訳者は(小説だとふつうなのに)なぜかノンフィクションだとタメ口で訳すクセがあり

    ダニエル・デネット『自由は進化する』 - logical cypher scape2
    marcello
    marcello 2007/11/29
    「確かに彼らとポストモダン系思想は、そのような結論に到った経緯はまるで異なる。」むしろ結論の差よりも経緯の差の方が問題では?
  • 1