様式が生まれる歴史的背景-1 〜アール・ヌーボーの限界〜 「アールヌーボー」と「アールデコ」というのは、同じように「アール」が頭に付き、時代的にも近いので、一般には、これら二つはワンセットのような、姉妹様式のような捉えられ方(誤解)をされることもありますが、中身を仔細に眺めていただければおわかりのように、全く別種のスタイルです。 この「様式学入門」のアールヌーボー様式の説明のところで、「アールヌーボー様式は1900年のパリ万博を支配するかたちとなります」と、コメントしました。それはまぎれもない事実でありましたが、実は(歴史にはありがちなことですが)最盛期がそのまま急速な没落の始まりでもあったのです。 以前、このシリーズのバロック様式の解説では、こんなことを書いています。「反動―アクションに対するリアクション、改革派に対する守旧派(抵抗勢力?)。共和制に対する王政復古、そして宗教改革に対する