ある晴れた日の昼下がり、ライフハッカー[日本版]編集長の米田智彦は歌舞伎町ゴールデン街にあるLibrary Bar「The OPEN BOOK」に足を踏み入れた。直木賞作家の田中小実昌(たなか・こみまさ)氏の孫、田中開(たなか・かい)氏がオーナーを務めるこのバーは、壁一面が本棚。単行本、文庫本、日本の作家による本、翻訳書...無数の本に囲まれて一息つくことができる、本好きや物書きにはたまらない名店だ。 編集者・文筆家という仕事柄、米田も本に親しんできた。ずらりと並んだ背表紙のタイトルと著者名をぼんやりと眺めているだけでも心が落ち着く。...小実昌氏の著書が多いが、彼の蔵書をそのまま運び入れたのだそうだ。彼は小説家として『ミミのこと』『浪曲師朝日丸の話』の2編で直木賞を受賞しているが、レイモン・チャンドラーなどのハードボイルド小説の翻訳も手がけていたことを思い出す。そして、彼はこのゴールデン