この世には地獄がある 高温のガスや地熱、熱水で生き物が生育しにくい地形を“地獄地形”といいます。 酸化力の強い硫化水素、二酸化硫黄が火山性ガスとして立ち込めることで土壌の酸性化が著しく、植物が生えにくくなっているのが原因です。 地獄地形の特徴は、表面が変質しゴツゴツした岩肌、グラグラと煮えたぎる温泉、鼻をつく硫黄の匂い(大体は腐卵臭と表現されます)……地獄と例えられるに相応しい景色です。 地獄地形のなかでも懸命に生きる生き物たちがいます。 これを温泉生物といいます。 動物や植物として肉眼で見える生き物や、温泉水中に温泉バイオマット(生物皮膜)として、緑や茶色といった皮膜を作ることではっきり見える微生物もいます。 温泉生物として知られているものは動物で約300種類、植物や微生物の仲間で700種類ほどいるといわれています。 生育できる温度やpHには差があり、100℃程度の温泉やpH1~2の強酸