辻野 照久(科学技術振興機構研究開発戦略センター 特任フェロー) 2013年12月16日 2013年1月号に掲載した「中国の宇宙開発事情(その3)」では、「嫦娥3号」(Chang'e-3)が月面着陸を目指していることを紹介した。今回はその「嫦娥3号」が打上げに成功し、ロ シアと米国に次いで中国が世界3番目の月着陸国となったことから、何をするための月着陸機なのか、主な科学ミッションや技術的な特徴などを紹介する。 嫦娥3号打上げと月面着陸 中国は2013年12月1日(世界標準時、現地時間では2日未明)、月に向けて「嫦娥3号」を打ち上げた。12月6日には月周回軌道に投入され、高度を徐々に下げて、近 月点が15kmになったところでエンジンを逆噴射する動力降下段階に入り、「虹の入り江」に12月14日に無事着陸した。そこから月面ローバ「玉兎(Yutu)」を送り出し、お互いに写真を撮り合って、そ れぞ