ブックマーク / www.nli-research.co.jp (136)

  • 体罰はなぜ無くならないのか?~経験にだまされる人間~

    1.無くならない体罰 ・暴力 体罰が原因で運動部の生徒が自殺するという痛ましい事件が起こり、スポーツの指導における暴力や体罰が大きな問題となっている。これがきっかけで教師が委縮してしまい、騒いだり暴れたりする生徒が幅を利かせるようになってもらっては困るという思いはあるが、そちらは指導ではなくて学校の治安維持の問題である。教育や指導の場で、体罰が根絶できない原因はどこにあるのだろうか? 暴力的な指導が問題となったスポーツで、高名な指導者が「俺が厳しく指導したから勝てたんだぞ」と選手に言った、と報道されている(注1)。暴力や体罰は良くないと言っている指導者の中にも、心の底では同じように思っている人が少なくないだろう。 叱ることで教育効果が生まれるという考え方は、日だけではないようだ。2002年にノーベル経済学賞を受賞した、ダニエル・カーネマンは著書の中で、イスラエル空軍の教育に携わった時の経

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  • Tokyoをアジアヘッドクォーターに~民間が出来ること、出来ないこと~

    東京都心部で開発される大型プロジェクトには、国内マーケットでの差別化戦略を超え、東京の魅力を世界にアピールするさまざまな新機軸や工夫が盛り込まれている。たとえば、英語対応が可能な外来病院の誘致、国際金融人材の育成・交流拠点の設置、天然温泉浴場つき和風ホテルの計画、外国人ビジネスマンの中長期滞在用サービスアパートメントの開設、皇居周辺ランナーのためにシャワーやロッカーを備えた拠点の設置、皇居のお堀の水質浄化システムの敷設、災害発生時の帰宅困難者受け入れスペースや備蓄の確保、200以上の高木が密集する森の造成、ホタルの飼育実験やスマートグリッド(次世代送電網)の実証実験など枚挙にいとまがない。東京駅周辺は洗練されたデザインの高層ビルが林立し、街並みは緑やパブリックアートで美しく整備され、安全かつ清潔だ。皇居や東京駅舎などの歴史文化遺産、銀座や築地市場、臨海新都心などのレジャー空間を有する東京

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  • AIJ事件発覚から1年 -小規模企業年金制度の将来を考える一つの視点

    AIJ事件が報道によって明らかになったのは、昨年の2月末近くになってであった。かねてから同社の運用の中身について疑念を抱く声は年金関係者の中にあったが、よもやカストディーや信託等複数の第三者が介在している投資スキームの中で、虚偽の運用パフォーマンスを長期にわたり報告し続けたとまでは、想像し得なかっただろう。そういう意味では、悪意のある人間(AIJ社の浅川社長は、国会答弁では詐欺の意図を否定したものの、公判においては詐欺の意図があったことを認めている)が、意図的に詐害行為を行った場合には、現在のチェック体制において完全に排除できるとは限らない。よもやそこまで悪意を抱いて行動しないだろうという信頼が、市場関係者に前提として存在するのは事実であるし、詐欺行為を刑法等の法制度において犯罪とするのは、刑罰による威嚇的抑止が必要だからである。法律や社会からの期待といった一般的な規範が必ずしも守られなく

    AIJ事件発覚から1年 -小規模企業年金制度の将来を考える一つの視点
  • 渋滞、ブランド、JKT48

    インドネシアの首都ジャカルタまでやって来た。 2012年の世界経済は、先進国では成長停滞が続き、BRICsなどの新興国経済も冴えなかった。 そんな中、目立って高い成長を記録したのがASEANの国々だ。特に、インドネシア、タイ、フィリピンでは2012年に6%を超える成長率を記録し、株価も絶好調である。 今回は、こうした国のミクロレベルの経済活動を目にする機会に恵まれた。事実、ジャカルタに着けば高層ビルが建っていることはすぐに見てとれるし、筆者が宿泊したホテル(値段は日とほぼ同水準で、インドネシアの賃金を考えたら、かなりの高級ホテルということになる)も多くの宿泊客で賑わっていた。ホテルは外国人観光客をターゲットとしていると思われるが、現地人も一定数いるように思われた。また、ホテル近くには、世界に名だたるブランドが並ぶ高級デパートがあり、盛況だ。こうした裕福層向けのデパートはジャカルタにいくつ

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  • “幸せ”のマネジメント -「笑う門には福来る」

    多くの人が幸せな人生を願っているだろう。“幸せ”の実現には、暮らしを支える様々な社会的厚生(Social Welfare)の蓄積が必要だ。その社会的基盤となるのは、介護・医療・年金などの社会保障をはじめ、誰もが享受できる教育仕事と子育て・介護などが両立するワーク・ライフ・バランス、安全で安心できる糧供給、治安や防災のための都市インフラ・・・などなどである。 一方、これらの社会的基盤が整うことは“幸せ”実現のための必要条件ではあるが、それで誰もが幸せになれるわけではない。同じ状況下にあっても“幸せ”を実感する人もいればそうでない人もいるだろう。主観的な幸福度は、個人の価値観や意識に大きく依存しており、それ故に自分自身で幸せになる状況をマネジメントすることも可能なのである。 内閣府「国民選好度調査」では国民の主観的幸福度を「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点として、「あなたはどれく

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  • 株、なでしこ銘柄の買い方 -“投資”と“出資”を区別して考える

    東京証券取引所は、女性の活用に積極的で経営効率も高い“なでしこ銘柄”として17社を選定した(文末に17社の一覧を記載)。少子高齢化時代の貴重な労働力としてだけでなく、消費者のニーズを的確に把むなど女性への期待は大きい。加えてこれら企業の経営効率も高いとなれば、応援する意味も込めて“なでしこ銘柄”を買ってみようと思う株式投資家も少なからずいるだろう。 では、なでしこ銘柄に投資する場合、単純に17銘柄を均等に買えばよいのだろうか。それとも、投資の原則とされる「ハイリスク=ハイリターン(リスクが高いほど収益も大きい)」に従い、リスクが高い銘柄をたくさん買った方が儲かるだろうか。 実は、最近の研究でリスクが極端に高い銘柄はリターンが低いことが分かってきた。こうした現象が起きる理由は必ずしも明らかになっていないが、リスクが高い銘柄には投資家が値上がりを期待して過大評価するため、結果として高値掴みして

    株、なでしこ銘柄の買い方 -“投資”と“出資”を区別して考える
  • 自立と保護、自由と規制

    最新型のスマートフォンを購入した際に、その取扱説明書のあまりの厚さにあぜんといたしました。いくら高性能電子機器であるとはいっても、なんと500ページ弱の分量もあるのです。私は申年うまれなので、『サルでもわかるスマホ教室』にでも通わないと、電話すらかけられないのではないかと危惧したほどでした。(実は、未だに触れてもいない機能がたくさんありますが…) しかし、当に驚きましたことは、「○○をしないでください」という取扱注意事項が、冒頭部分に40ページ以上に渡って記載されていたことです。電話機はそれほど危険なものであるはずがなく、そこには、私の想定外の行動に対する注意喚起の記述が並んでいました。 「電子レンジなどに入れないで下さい。火災、やけど、怪我、感電の原因となります。」「ぐらついた台の上や傾いた場所などに置かないで下さい。落下してけがの原因となります。」「自動車などの運転者に向けてライトを

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  • 人口の増加がもたらす街の活気 -都市中心部の人口空洞化と人口増から

    現在、東京で最も人口増加率の高い市区はどこかご存知でしょうか。それは、東京駅のすぐ東側、日橋や銀座、築地中央卸売市場、もんじゃ焼きで有名な月島などが立地する中央区です。2000年以降、東京都区部の人口増加率では圧倒的な1位。最近では人口増加数もベスト5に入っています。 かつて、中央区では人口減少の深刻化により、人口の空洞化やコミュニティの危機が叫ばれました。1960年代から70年代には10年間の人口減少率が約25%と、10年ごとに人口の1/4が減少していたのです。それが1997年を底に人口増加に転じました。2012年までの15年間に人口は1.7倍に急増し、高度成長期の1960年代末の人口規模を回復しました。 1990年代半ばに銀座以外の中央区内を、特に土曜日や日曜日に歩くと、その人通りの少なさに驚いたものです。それが、いまはマンションが立つ通り沿いにはこどもの声が響き、公園やスーパーマー

    人口の増加がもたらす街の活気 -都市中心部の人口空洞化と人口増から
  • シニア世代の住み替えで農業、エネルギー産業の振興を

    50歳以上のシニア層を対象に、ライフスタイルに合わなくなったマイホームを借上げ、賃貸住宅として子育て世帯などに転貸する公的な仕組みがあるのをご存知だろうか。一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が提供する「マイホーム借上げ制度」だ。マイホームを売却することなく住宅資産として活用することで老後資金確保を支援する仕組みで、空き室時も最低賃料が保証され、最長で終身まで借上げてもらうことができる。ただし、良質な住宅を借り手に提供するため、貸し手は事前に住宅の劣化状況と耐震性の診断を受け、問題がある場合は補強改修工事を行う必要がある。良質な住宅ストックを社会に循環させる、という制度の主旨からは当然のことだろう。ところで、ひとくちにシニア層といっても経済状況や健康状態、家族構成は実に多様であり、現役引退はまだまだ先だと考えるアクティブなシニア層なら、新しい生活の糧や生きがいを手に入れるために、こ

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  • 就職人気ランキングで考えるグローバル化時代の若年層の安定志向

    今朝、日経済新聞社で就職人気ランキングが発表された1。弊社親会社の高評価は大変喜ばしいことだ。ただ、驚いたのは、これだけグローバル化の必要性が言われる中で、上位に外資系企業があがらないことだ。もちろん上位にあがった日系企業は積極的に海外戦略を展開し成功をおさめているところも多い。しかし、学生が各社を選んだ理由をみると「規模が大きい」「安定している」「一流である」などが並び、海外展開は直接的な理由にはないようだ。 若年層の安定志向は企業選びだけでなく、その後の働き方にもあらわれている。日生産性部「2012年度新入社員春の意識調査」によると、転職についての考え方を問う設問で「今の会社に一生勤めようと思っている」と回答する割合は年々増加している(図1)。2000年では20.5%だが、リーマンショック後の2009年には半数を超え、2012年では60.1%にのぼる。 このような若年層の安定志向

    就職人気ランキングで考えるグローバル化時代の若年層の安定志向
  • “レスリング除外危機”が示唆する“TPP問題”への教訓

    今月、日のスポーツ界に衝撃が走った。12日に開催された国際オリンピック委員会(以下、IOC)の理事会において、2020年夏季五輪からの除外候補にレスリングが選ばれたためだ。最終決定されたわけではないが、除外の危機に直面していることは間違いない。このニュースは、「古代オリンピックからの採用競技であり、世界競技人口も多い(一説には100万人超)レスリングが何故?」という意外感とともに、「日のお家芸が除外されることのマイナス影響」への危機感が広がった。 報道ベースでは、今回の除外危機の背景には「レスリングには長い歴史と広い裾野がある」という油断があったことに加えて、「IOC理事の不在」という状況も影響した可能性が指摘されている。最後の最後までレスリングと除外候補入りを争った“近代五種”(1人の選手が射撃、水泳、フェンシング、馬術、ランニングで競うもの)は競技団体の代表がIOC理事を兼ねていた

    “レスリング除外危機”が示唆する“TPP問題”への教訓
  • 政治に期待するものは世代間で異なるのか

    私は、若者世代の一票の重みが、他の世代より軽くなりつつある状況につきまして問題意識を抱き、これまでいくつかコラムを執筆してまいりましたi。 しかしながら、人々が政治に期待するものが世代間であまり異ならないのであれば、一票の重みの世代間格差につきましても、大きく問題視しなくても良いのかもしれません。 Yahoo!JAPANでは、政治に関するインターネット調査を毎月実施していますが、昨年の衆議院選挙直前の11月末に行われました調査結果を見ますと、有権者の世代間で支持政党についての大きな差異はありませんでした(図表1)。 多数の政党が旗揚げされたために、各政党の主張や政党間の争点が不明確になってしまった感は否めませんが、どの世代をみましても、支持政党の上位3党は同じ政党が並ぶ結果となりました。 ところが、 日の衆議院選挙直後の、昨年12月19日に実施されました韓国大統領選挙は、日とはかなり様

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  • あなたはいつまで働く? - “強制終了”から“終了メニュー”選ぶ時代へ

    60歳が近づくと『あなたはいつまで働く?』という問いが急速に現実味を帯びてくる。やはり「退職」のひとつの目安は年金支給開始時期だろうか。昨年8月、改正高年齢者雇用安定法により希望者全員の65歳までの継続雇用が決まった。それは今年4月から特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が引き上げられるのに伴い、年金受給までの空白期間を解消するためである。 しかし、日の社会的扶養の大きさを示す従属人口指数(年少人口と老年人口の合計を生産年齢人口で除した値)は上昇を続けており、今後の社会保障制度の維持や一定の経済成長を達成するためには、一層の労働力人口の増加が必要だ。超高齢社会を迎えるわが国は、年齢階層別の就業率を高め、年金受給年齢を超えても働く高年齢者を増やして行かざるを得ないのである。 一方、働く主体である個人からみても、老後の経済基盤を確保するために高齢期になっても働かなければならな

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  • クルム伊達公子選手に学ぶ~世界に誇る中小企業の技術と技能の伝承~

    先日、テニスの全豪オープン女子シングルス3回戦で、42歳のクルム伊達公子選手が21歳のボヤナ・ヨバノフスキ選手(セルビア)と対戦した。試合は、戦前予想されたとおり、力の限りエースを決めようとするヨバノフスキ選手に対して、伊達選手が熟練の技で対抗する展開となった。左右前後に打ち分け、伸びる球があれば、落ちる球もあるといった、まさに技のオンパレードのような伊達選手のストロークを見ながら、私はふと、伊達選手の1ストローク、1ストロークに、21歳の後輩に対する技術と技能の伝承のメッセージが込められているのではないかと感じた。 さて、産業界においては、団塊の世代が60歳を迎え始めた2007年に、技術と技能の伝承が「2007年問題」として注目を集めた。この時には定年延長や再雇用等の対応により、問題は表面化しなかったが、問題が解決されたわけではなく、団塊の世代が65歳を迎え始めた現在でも、企業、特に中小

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  • 若年層の結婚観~未婚化・晩婚化の一方で若者たちは結婚を望んでいる

    ■見出し 1――未婚化・晩婚化の進行 2――若年層の未婚理由 3――経済的側面からみた若年層の婚姻状況 4――若年層の交際状況 5――若年層の結婚に対する価値観の変化 6――まとめ ■introduction 未婚化・晩婚化の進行が言われて久しい。1980年代では20代の後半ともなると、男性の半数弱、女性の7割程度が結婚していたが、現在では大半が未婚である(図表1)。生涯未婚率も上昇し、男性の5人に1人、女性の10人に1人は生涯未婚1という世の中になっている。 未婚化の一方、晩婚化も進行している。平均初婚年齢は上昇し続けており、男性は30.7歳、女性は29.0歳となった(図表2)。それに伴い、第1子平均出生年齢も上昇し、ついに女性で30歳を超えた。少子化もますます進行し、2011年の合計特殊出生率は1.39、出生数は過去最低の105万人を記録した(図表3)。合計特殊出生率は2006年あたり

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  • 北極海の海氷融解と地球温暖化 - 地球温暖化の便益と損失をどう考えるか?

    北極海の氷が融けて、ついにLNG(液化天然ガス)タンカーがノルウェーから北極海航路を通って日に到着した。昨年12月のことである。「北東航路※」と呼ばれる、シベリア沿岸を通り米国アラスカとロシアの東端の間にあるベーリング海峡を抜けるルートを通って、北九州の港に接岸した。九州電力の火力発電所に供給するためである。これは世界初の冬の北極海航路によるLNG輸送となった。 (※北米大陸北端のカナダ沿岸を通る「北西航路」もある) 従来、氷に覆われて商業利用は不可能と考えられていた北極海だが、今世紀になって地球温暖化により北極海の海氷面積が激減し通行可能となった(昨夏は観測史上、最小面積)。夏季には北極海航路を利用した貨物量が増加しており、冬季にも砕氷船先導とはいえ航行可能となったのである。 それゆえ、北極海に対して航路開設と海底資源の観点から世界的に注目が集まっている。航路については、ヨーロッパ・東

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  • 黒田夏子さん芥川賞おめでとうございます―結晶性知能による結晶のかがやき―

    「すごいわね~!」「やるもんだな~!」「私もがんばらなくちゃ!」と、日中に感嘆符があふれたことと思います。 第148回芥川賞受賞作に「abさんご」が選ばれましたが、作者の黒田夏子さんは、これまでの受賞者の中では最年長の75歳の女性でした。文藝春秋社のHPの受賞者紹介欄には、『1937年東京生まれ。早稲田大学教育学部国語国文科卒業。教員・事務員・校正者などを経て、2012年「abさんご」で第24回早稲田文学新人賞を受賞しデビュー。』とあり、まさしく75歳の新人のデビュー作での芥川賞受賞でした。 昨年は、夏のロンドンオリンピックでの若者世代の活躍に歓喜し、続いて山中伸弥教授のノーベル医学・生理学賞受賞という壮年世代の偉業達成で年を終えましたが、今年は、シニア世代の活躍での幕開けとなりました。 さて、「年をとると物忘れが多くなって、、、」とお嘆きの方も多いでしょう。還暦が近づきつつある私も、最

    黒田夏子さん芥川賞おめでとうございます―結晶性知能による結晶のかがやき―
  • 投資の法則は変化したか?(1)- 月次効果アノマリー (1月効果等) を再検証する

    株式市場では、「1月の株高」、「節分天井彼岸底」、「新年度相場で4月の株高」「夏枯れ相場」など季節にまつわる相場の格言があり、意識している投資家も多くいるだろう。これらはアノマリー(Anomaly)と呼ばれる合理的には説明できないが、よく当たるとされている経験則である。 ファイナンス理論の効率的市場仮説(Efficient Market Hypothesis)によれば、市場は効率的であるということを前提に、反映される情報の範囲に諸説あるが、すべての情報が生成されると即座にかつ完全に価格形成に反映されるとしている。その結果誰も継続して他人よりも優れた投資成果を上げ続けることができない。しかし市場の効率性に関する実証研究で効率的市場仮説に反するアノマリーがさまざまに報告されている。 今回は実際の株式市場(日:TOPIX、米国:S&P500)、為替市場(ドル円)、債券市場(10年金利)の30年

    投資の法則は変化したか?(1)- 月次効果アノマリー (1月効果等) を再検証する
  • マンション vs. 一戸建て - 競争が生む新世代の住宅

    たまに一戸建ての実家に行くと、普段のマンション生活がいかに便利で快適かを実感できる。17年前に建てたプレハブ住宅は、窓が多い上にサッシの断熱性能が低いため、冬は寒く夏は暑く、室温ムラも大きい。24時間換気システムはなく1、窓の結露もあって室内には湿気がたまりやすいが、無用心なので留守中や夜間に窓を開けて風を通すことができない。ディスポーザーがないので生ゴミの処理ができないうえ、ごみは収集日の朝にしか外に出せない。宅配ボックスがないため、留守の時にはいちいち再配送を依頼しなければならず、インターネット通販利用にはすこぶる不便だ。庭があっても手入れが大変で、毎日の水遣りが必要な夏場は長期間留守にできない。築5年のマンションと比較するのはフェアではないが、それだけに、マンションが一戸建ての利点を巧みに取り入れつつ、マンションでしか実現できない利便性や魅力を高めてきたことがよくわかる。 しかし、進

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  • 順張りと逆張り、どっちが有利?

    運用でマーケット平均を上回ろうとした場合、大きく2つの投資スタイルがあると考えられる。一つは「順張り」で、マーケットが上昇(下落)したら更に上昇(下落)すると予測し、今後も同じ方向(上昇(下落)する方)に動くことに賭ける方法である。これは、将来の相場は過去の相場を繰り返すという前提に基づき、相場の流れ(方向性)が変わるまで同じ証券を持ち続ける。長期間に渡り相場が上昇(下落)し続けるなど、いわゆる相場の流れがしっかりとしているときに有効である。 もう一つは「逆張り」で、マーケットが上昇(下落)したら次は下落(上昇)すると予測し、今後は逆の方向(下落(上昇)する方)に動くことに賭ける方法である。これは、マーケットはある一定の水準に戻るという前提を置き、相場が変動するのは一時的なブレだと考える。そのため、相場が上昇(下落)したら次は元の水準に戻る可能性が高いために下落(上昇)すると考え、直近の相

    順張りと逆張り、どっちが有利?