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ブックマーク / www.ki1tos.com (6)

  • ずっと先生の話聞いてなかった - いつか博士になる人へ

    大学院のころ、僕には憧れていた先輩がいた。 憧れていた、というのは、 「いつか先輩みたいになりたい」というよりは、 「いつか先輩と一緒に観覧車に乗りたい」という方だ。 恋愛的な方だ。 しかし、この記事で伝えたいことは、恋愛的なことではない。 僕としても恋愛的なことを伝えたいのはやまやまなのだけど、無い袖はふれない。 悲しい。 いつだったか、先輩と学に行ったとき、 「先生って、たまに同じ話するよね」と、先輩が言った。 「そうですね」と、僕はうなずいた。 たまに、というか、先生はよく同じ話をした。 きっと毎年毎年、新しい学生が研究室に入ってくるからだろう。 先生としては、大事なことは一年に一度は言わないといけないのだ。 その日もたしか、「失敗にみえる結果にこそ大切なことが隠れている」という話をしていた。 先生の好きなフレミングの話だ。 カビが生えてしまった培養皿を捨てず、それを研究してペニシ

    ずっと先生の話聞いてなかった - いつか博士になる人へ
    marmot1123
    marmot1123 2020/12/11
    “。”
  • なんで論文なんか書くのか - いつか博士になる人へ

    私がポスドクになって今の研究室に来たとき、イトウくんという学生がいた。 彼は学部の4年生で、卒業研究をやっていた。 私と彼は研究テーマが似ていたから、よく並んで座って話をした。 キャンパスのイチョウが黄色くなった頃、 「卒研発表までもう3ヶ月しかないです」と、イトウくんが言った。 「やばいね」と私は言った。 人ごとなので、たぶんニヤニヤしていた。 優しい私は、 「そろそろ卒論も書かないといけないね」と、追い打ちをかけようとした。 すると彼は、 「論文は書かなくてもいいです」と言った。 「えっ、そうなの?」 「はい。発表すれば卒業できます」 それを聞いて私は、 「そうなんだ。楽でいいね」と、心からうらやましそうに言った。 イトウくんは、 「そうですね」と、少し困ったように笑った。 このときのことを、私は今でも後悔している。 なんで論文なんか書くのか 私が卒業研究をやりはじめたとき、当時の先生

    なんで論文なんか書くのか - いつか博士になる人へ
  • 楽しく研究の話がしたい - いつか博士になる人へ

    「なんでうちの研究室を選んだの?」と、学生に聞いたことがあります。 学生たちの答えは、 「研究テーマがとても面白そうだった」という建前から、 「研究室の場所が家から近かった」などの音まで、さまざまでした。 そんな理由の中に、 「研究室見学に行ったとき、先輩たちが楽しそうに研究の話をしてたから」というのがあって、あーわかるなぁと思いました。 学生にかぎらず、楽しそうに研究の話をしてる人たちを見ると、いつも良いなぁと思います。 そんな人たちと一緒に研究したいと、私も思います。 いま私がいる研究室には、毎年3人の学生が入ってきます。 むかし私が卒業した研究室は、毎年ひとり入ってくるかどうかでしたので、それと比べると大きな研究室です。 同期が二人もいる彼らは、わからないことがあっても、わからないなりにアーデモナイ、コーデモナイと楽しそうに話をしています。 同期がひとりもいなかった私には、それが少

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    marmot1123
    marmot1123 2020/08/02
    良い話だなあ。
  • 論文を読む理由 - いつか博士になる人へ

    大学へ通う電車の中で、論文を読んでいる人を昔よく見かけた。 その頃まだ学生だった私は、そんな人たちを見つけては、「卒論の時期だな」とか、「ゼミ発表が近いのかもしれない」と、論文読んでる理由を勝手に想像してた。 「なにも電車の中で読まなくてもいいのに」と思った。 その頃の私にとって、論文を読むことは勉強だった。 電車の中で勉強している高校生をみて「たいへんだな」と思う感じ。 でも今の私には、あの人たちの気持ちがわかる気がする。 電車の中で論文読みながら、たまにニヤニヤしてた人たちの気持ちが。 論文が読めない理由 論文を読むことを教えてもらったのは、大学4年のときだった。 卒業研究のために配属された研究室で、週に一度「論文を読む会」があった。 いつも火曜日の夕方に、みんなでせまいミーティングルームに集まった。 毎回、学生の誰かが論文をプリントして配り、タイトルから読んでいく。 英語を一文読んで

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  • 人は知ってることしか見えない - いつか博士になる人へ

    大学院に入ったばかりの頃、配属された研究室で研修を受けた。 僕は先輩について回って、実験機器を使ってみたり、実験ノートのとり方を教えてもらったりした。 ある日、先輩が先生たちとミーティングをするというので見学させてもらった。 そのときのことは今でもよく覚えている。 最初に、先輩が実験でとれたデータについて説明した。 先輩の堂々とした説明を聞いて、僕はとても感銘を受けた。 ふんふんとうなずきながら、はたして自分はこんなふうに説明できるだろうか(いや、できない)と思っていた。 でも先輩の説明が終わったとき、 「なんか変だね」 と助教さんが言った。そして、 「普通はこうなるはずなんだけど」 と、他のデータとの違いを指摘した。 先輩と僕は他のデータを知らなかったから、そこが変だと気がつかなかった。 なぜこのデータは変なんだろうねと、皆でうんうん考えていると、 「3次元でグラフを描いてみて」 と先生

    人は知ってることしか見えない - いつか博士になる人へ
  • なぜ博士号をとったのに大学教員にならないのか - いつか博士になる人へ

    春が来て、僕の少ないポスドク(博士研究員)仲間たちがまた何人か大学を去っていった。 一流大学で博士号を取り、一流論文誌に研究を発表した彼らが、それでも大学教員になることをやめた理由はさまざまだ。 お金だったり、子どもだったり、別にやりたいことが見つかったり。 だけどそれぞれの理由の根っこにあるものは、たぶんみんな同じだと僕は思っている。 博士課程を終えた後にいろいろな問題が降りかかってくることなんて、僕たちは博士課程に入る時に十分わかっていた。 給料が低いことも、結婚して子どもを持つことが難しいことも知ってた。 それでも大学教員になりたいと思ってハカセになった。 大学で好きな研究をやること以外に、やりたいことなんて考えられなかった。 それなのに、どうして今さら大学教員になることをあきらめるのか。 お金がない生活に嫌気がさしたから? 運命の人に出会ってしまったから? 自分の天職は他の仕事だっ

    なぜ博士号をとったのに大学教員にならないのか - いつか博士になる人へ
    marmot1123
    marmot1123 2020/05/22
    分かってしまう。数年後の自分だ。
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