大学院のころ、僕には憧れていた先輩がいた。 憧れていた、というのは、 「いつか先輩みたいになりたい」というよりは、 「いつか先輩と一緒に観覧車に乗りたい」という方だ。 恋愛的な方だ。 しかし、この記事で伝えたいことは、恋愛的なことではない。 僕としても恋愛的なことを伝えたいのはやまやまなのだけど、無い袖はふれない。 悲しい。 いつだったか、先輩と学食に行ったとき、 「先生って、たまに同じ話するよね」と、先輩が言った。 「そうですね」と、僕はうなずいた。 たまに、というか、先生はよく同じ話をした。 きっと毎年毎年、新しい学生が研究室に入ってくるからだろう。 先生としては、大事なことは一年に一度は言わないといけないのだ。 その日もたしか、「失敗にみえる結果にこそ大切なことが隠れている」という話をしていた。 先生の好きなフレミングの話だ。 カビが生えてしまった培養皿を捨てず、それを研究してペニシ
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