ビジネスにおけるリスクを語る際、非常に厄介な事実が一つある。それは、「リスク」という語の定義がうまく定まっていないことだ。Aという人の語るリスクと、Bという人の受け取るリスクが同じ物事を指しているとは限らない。いや、違うことを言っている可能性の方がずっと高い。各人の理解にブレ(不確実性)がある。リスクについて語ることは、それ自体がすでにリスキーな事なのだ。 たとえば、人に「最近遭遇したリスク事象の例を挙げてください」と質問したとしよう。たいていの場合、返ってくる答えは「発注先が納期を一月半も遅らせてきたんです」とか「先月自転車で事故りまして」といったものだ。これらは実際に起きてしまったトラブル事象、すなわち『issue』(問題)である。リスクという語は、本来は起きる前の可能性を指す概念のはずである。だから、「発注先の手際がまずくて納期に遅れそうになり、気を揉みました」とか「自転車のブレーキ
![リスクという言葉自体がリスキーである | タイム・コンサルタントの日誌から](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/29613ed48da703225b2d49a3c17fab182db792b8/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fpds.exblog.jp%2Flogo%2F1%2F200508%2F25%2F47%2Fe005844720050825233346.jpg)