貪欲なハングリー精神、と言うと、少しイメージが違う。気を見るに敏、というのもやや外れている。自然体だけど挑戦的。楽しみながらも必死。インタビューをしながら、この人が醸し出す独特の空気をいろいろに感じていた。 六代桂文枝さん。いや、それまでの三枝さんという名前の方が馴染み深い。46年もの間、桂三枝として上方の芸能界を引っ張り、お茶の間の人気者であり続けた人なのだから。 「いらっしゃーい!」、「オヨヨ」とギャグを連発したひょうきんなイメージとは異なり、凛とした威厳を漂わせながら、大阪市内のホテルの一室に現れた。「あの三枝さんだ」とドキドキするぼくに静かに笑みを向ける。「よく見てますよ。こういうくだけたインタビューもなさるんですねえ」と、こちらの緊張を和らげるように話しかけてくれる。 子どものころから、三枝さんを見ない日はないと言っていいほどだった。「ヤングおー!おー!」、「パンチDEデー