なぜ彼は発信し続けるのか 本を出版したことで、彼がさらなるバッシングにさらされることは必至である。それでもなぜ彼は発信し続けるのか。その答えは同書に記されている。 僕は父と違って、母の無実を声高に主張しようとは思っていない。母が100パーセント無実だという確証はないからだ。そして、もし母がカレーにヒ素を入れたのならば、死刑に処されるのは当然だと考えている。 しかし同時に、母がやったという確証もない。もし母がやっていないのであれば、このまま見殺しにするわけにはいかない。もし死刑に処されるとしても、息子として最後の最後まで見届けたいのだ。 僕と父が和歌山で暮らしていること、そしてメディアに出ることを不快に感じる人が大勢いることはわかっている。特にカレー事件のご遺族、被害者の方々は、僕や父、そして「カレー事件」という字面を見るだけでも辛いだろう。しかしどうか、わずかな身内が母を信じ続けることを許