最近も日本のメディアでは“セレブ”女優の“離婚調停?”をめぐるさまざまな観測や報道が飛び交っているように、いつの時代でも男女間の恋愛沙汰は人々の関心を引くのだろう。愛は人類の普遍ともいえる熱い関心の的だが、その一方で人間の生活を扱うはずの経済学ではほとんどこの愛の問題はなかなか議論の中心にはならなかった。 日本の経済論壇では、90年代の後半に興味深い論戦が中条潮(経済学者)、宮崎哲弥(評論家)、佐藤光(経済学者)の各氏の間で行われたこと(『論争 東洋経済』1996~1997年誌上)がある。今回はこの論争を振り返ってみよう。 その論争の中心的問題になったのは、愛を効率性という経済学で用いられる基準から評価するのが妥当かどうか、ということだった。まず経済学における効率とはなにかを、中条氏が用いた設例を利用して改めて説明しよう。 中条氏は、「A君は高学歴で一流会社に就職。親も金持ちだけど、ちょっ