これは取材活動の中でも常々感じてきたことで、たとえば虐待サバイバーの風俗嬢なら虐待サバイバーの風俗嬢の当事者コミュニティが居心地がいい。男の子ならいわゆる言語の延長線上に暴力があるようなアウトローコミュニティが、案外スッとなじめる。たとえそこが裏切りに満ちていたり、被害者になりがちだったり、その後の貧困リスクが非常に高い世界だったとしても、そこで得られるQOLは「そこから正常(?)な世界に向かう」人々のQOLより高いのだ。 実はこのことは、これまで僕自身が著作の中で何度も書いてきた「支援者が当事者とまったく別の方向を見ている」という指摘の実例でもある。 たとえば生育環境に貧困や育児放棄や虐待があって、「避難的」な家出生活から売春の世界に入った少女たち。彼女たちにとって最も受けたくない支援とは、何とか自分の売春という稼ぎで得た自由を奪われ、それまで何度もトラブルを起こし対立してきたかもしれな