宗教と哲学には、決定的に違うところがひとつある。 それは、 宗教は『信じること』を前提としているが、 哲学は『疑うこと』を前提としている、というところだ。 つまり、 宗教とは、基本的に『信の道』であり、 哲学とは、基本的に『疑の道』である。 たとえば、宗教では、 教祖が作った教義を『疑う』ということはありえない。 宗教において、 「なんか教祖様の教義のこの部分って、おかしくね? 俺は、ここはこうした方が良いと思うんだけど……」 なんてことを弟子が言い出すことはありえない。 教祖の教義は完璧であり、弟子たちは、ただただそれを信じる。 「教祖を信じること」「教祖の教えを守り続けること」、 それが弟子の役目である。 一方、哲学では、 師匠が作った哲学体系を『信じる』ということはありえない。 もちろん、志(こころざし)なかばで倒れた師匠の哲学を受け継ぎ、 哲学体系を完成させるのは、弟子の役目ではあ