今年の12月で没後100年になる夏目漱石さんは、圧倒的な知名度で高い人気を誇る。その作家人生は10年余りにすぎない。 思春期の読書好きな人が“あれ読んだ?”と語り合えるような、太宰治さんタイプではないかもしれないが、粋で新しいもの好きなおしゃれ心を感じる。漱石さんには、日本人の凝り性を持つモボ(モダンボーイ)の部分もありそうだ。 漱石さんは、東京の山手を舞台に、山手に住む新興エリートに向けて書いた新聞小説作家だった。国民的作家になったのは、戦後の国語教育の力が大きいという説がある。 日露戦争後、激変する社会を舞台に、都市の風俗や時事ニュースを巧みに盛り込みながら、男女が直面する問題を描き人気を博した。 漱石さんは英国で、小説とはどういうものかを学んできた。西欧化された東京を描くことで、日本人に西欧を体験させ、近代のありようを示したという。 しかし、当時の文壇は冷ややかで、作家・正宗白鳥さん
![気むずかしくも慕われた漱石 - 日日平安part2](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7e785d89cbc136c854693463429910ab4c925043/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Ffarm8.staticflickr.com%2F7640%2F27383900223_d7bc5119d1_b.jpg)