’19年6月、40代の長男を殺害した70代の父親に、東京地裁が下した判決は懲役6年だった。この長男は長年、家庭内暴力を繰り返していたとして、弁護側は執行猶予つきの判決を求めていた。裁判長は「強固な殺意に基づく危険な犯行」としながらも、「長男からの暴行に恐怖を感じた背景は考慮すべき」と述べ、検察が求刑していた懲役8年よりは軽い刑とした。 この父親は東大を出て官僚になり、農水省の事務次官まで上り詰めた。母親の親族には医師も多いという。長男も進学校として知られる私立中学に進んだが、父親ほどの優等生ではない。発達障害という診断を受けていたとされるが、大学に進学して卒業しているので、それほど重とくな状態ではなかったと考えられる。 これほどのエリート家系に生まれなければ、それなりに就職して独立できたかもしれない。しかし、長男は定職に就くこともなく、イラストで身を立てようとして挫折。ゲームにのめり込み、