個人情報の漏えいを防ぐという観点から,シンクライアントに対する注目が集まっているが,このブームは何を意味しているのだろうか。シンクライアントを導入すれば,顧客などに関する個人情報を端末に記録する必要がない。また,会社の機密情報も端末には残らない。仮に端末を紛失したとしても,あるいは盗難にあっても,会社の安全を守れることから,導入を検討する企業が増えている。 また,シンクライアントには,IT部門にとって,もうひとつご利益がある。端末の管理・運用が単純化され,簡素化されることだ。社員が個々に,自由にパソコンを購入し,好き勝手なソフトウエアを導入する状況を許せば,IT部門としては管理が複雑になる。ここに,ユーザー部門とIT部門の綱引きの関係が生まれる。コンプライアンス重視という社会背景を受けてIT部門は,「個人情報保護」あるいは「セキュリティ」といった錦の御旗を掲げる。これにより,シンクライアン