「最初の10年は泥のように働く」――情報処理推進機構(IPA)理事長 西垣浩司氏が伊藤忠商事 丹羽宇一郎氏の言葉を引用したとき、記者は「なるほど」と感じた。10年という期間が長いか短いかはともかく、若いうちは必死で働こうという考え方は、それはそれで「アリ」だ。「10年、泥のように働ける人はいますか」と司会が登壇していた学生10人に尋ねたところ、手を挙げた学生は1人もいなかった。 そこにあったのは、明確な「意識のズレ」だ。「IT企業」という言葉ひとつとってみても、学生たちが考える「IT企業」――例えばグーグル――と、「IT企業」の社長として登壇したパネリストたちとの間には「ズレ」があった。その「ズレ」を伝えようとしたのだが、結果として読者の方々から多くのご批判をいただいた。「面白おかしい部分を殊更に強調している」「IT業界のネガティブキャンペーンではないか」。記者にそのような意図はなかったが