2020年、世界は新型コロナウイルス感染症のパンデミックに翻弄された。来たる2021年、そしてその先、世界はどうなるのか。邦訳書もある社会疫病学者のニコラス・クリスタキスが、新著で提示した議論のエッセンスを語る。 コロナウイルス「Sars-CoV-2」が、中国の科学者たちによって新しい致死的な呼吸器疾患の源と特定されてほぼまる一年が経つ。 以来、世界的に150万以上の人々が死亡し、世界中の経済が何度もシャットダウンし、社会は在宅隔離モードになり、家族や友人と近づけないまま休日が過ぎていった。 そして、これから私たちを待ち受けるのは、物流的に史上最難関の公衆衛生キャンペーンに取り組む1年だ。 だがそんななか、イェール大学教授で社会疫学者のニコラス・クリスタキス博士は、新著『アポロの矢──コロナウイルスが私たちの生き方におよぼす深刻で根強い影響』(未邦訳)で、慰めにならない慰めを与えてくれる。