「社長には、口が裂けても本当のことはいえませんよ」と、知人は言った。 彼はとあるサービス業の社長の腹心で、もう付き合いも長い。 創業してまもなく入社した彼は、社長に気に入られ、抜擢されたがすぐに社長の本当の姿に気づいた。 社長はお客さんや外に対しては非常にウケが良い。外面がいい、というやつだ。だから、会社の外部の社長から社員は言われる。「あなたの会社は、いい社長がいるねえ、いい会社で働いていて、幸せだね。」 でも、社員は全く別の評価を下している。 悪い人ではないのだが、自社に関する「不都合な真実」は決して信じようとしない。それどころか、悪い報告を持ってくる人を憎む。具体的には、社長が聞きたくないことを社長に言うと、怒られるのだ。 例えば、自社の製品の陳腐化している部分を指摘し、「競合に負けてますよ」と、自社製品が競争力を失っていることを知らせた幹部は糾弾された。「ウチの製品は優れている。上