経済学者と評論家の組み合わせというと、まず思い出すのが『ヤバい経済学』だ。本書の著者たちも十分それを意識して冒頭でネタにしているぐらいだ。本書にはその『ヤバい経済学』やその映画版からの話題もあるし、しばしばかのベストセラーであるサンデル教授の一連の白熱本からも話題をとりあげている。 もちろん本書の話題はそんなものだけにとどまらない。栗原さんを入れたことで、人文系の読者が容易に経済の問題にふれることができるように、対話形式ですすんでいき、とても読みやすい本になっている。とりあえず目次を掲載しておく。アマチュアからプロまで楽しめるのがこの異業種対話の味わい深さだろう。 1 人はインセンティブに反応する(インセンティブは「飴と鞭」;歴史に見るインセンティブ;インセンティブ・ダークサイド;文壇と大相撲から考える「暗黙の共謀」) 2 トレード・オフ―あちらを立てればこちらが立たず(すべての道はトレー