金融市場では「リスクオフの円買い」という表現が当たり前のように使われているが、北朝鮮半島の緊張感が強まり当事者である日本の通貨が買われるのに違和感はないだろうか? 実は、円は安全資産として買われているわけではない。いまさら聞けない「リスクオフの円高のメカニズム」を解説しよう。 北朝鮮がミサイル発射すると円高 8月26日早朝に北朝鮮が日本の領空上を通過するミサイルを発射した。地政学リスクの高まりで、29日の日経平均は5月1日以来3ヶ月半ぶりに1万9300円を下回った。「有事の円買い」でドル円は29日に4月17日以来の円高水準となる108円28銭を付けた。 「有事の円買い」は頻繁に起こる。8月10日に北朝鮮がグアム近海へのミサイル発射準備をしていると同国の公営放送が伝えると、ドル円は110円台前半から109円前半まで約1円の急騰をした。今年4月に108台前半をつけた円高局面では、北朝鮮が米中首