電子コミックの未来を考えるとき、今のところ道は大きく二つに分かれているように見える。 ①紙のマンガと変わらないマンガ表現を電子でも再現する。 ②電子端末に適合した、これまでとは違う新たなマンガが生まれる。 スマホやタブレットに配信されている日本のマンガはこれまで主に①の道を歩んできた。②は日本のケータイコミックや韓国のウエブトゥーンが歩んできた道である。それぞれについて検証してみたい。 伝統的日本マンガ文法「メクリ」「ヒキ」 日本のマンガには独自のマンガ文法がある。それは「見開きをひとつの単位として、コマ割り表現と構図によって、動かない絵をあたかも動いているように読者に見せるためのテクニック」と言い換えてもいい。もちろん絵やセリフも重要だが、絵がどんなにうまくても、セリフがかっこよくても、コマ割り表現と構図がまずい、つまり文法におかしければ、読者は離れてしまう。 例えば、大きな塔が倒れるシ