フィッツジェラルド 「夜はやさし」 原題“Tender is the Night” ■ 14時間のロングフライトの飛行機の中で、一気に読んでしまった本。 想像した以上に、自分にとって大切な、記憶に残る小説になってしまった。 この小説は、ものすごく不完全な二人の人間のものすごく濃密で、ものすごく繊細な、不思議な依存関係と絆を描いている。 主人公の二人の男女は、表面的には完璧に魅力的な人間。美男美女、裕福で賢く、性格も魅力的な二人。 そのきらびやかな表面の裏は、えげつないもので構成されているのだった。 近すぎる距離がもたらす、憎さと愛情。 そしてその関係により壊れていく男。 ■ この小説には「オリジナル版」と「改訂版」がある。 現時点で日本語で読めるのは ・オリジナル版: ホーム社・集英社の森慎一郎氏訳 ・改訂版 : 角川文庫の谷口陸男氏訳 の2つ。 私が読んだのは「オリジナル版」だけであ