ドラマの数だけ言葉が残った。ロンドン大会で100年を迎える日本の五輪挑戦史、多くの選手たちが勝って笑い、敗れて泣いた。記録と記憶をつなぐ「言葉」を、当時の感動とともによみがえらせる。【編集委員 荻島弘一】 <アーチェリー・山本 博~2004年アテネ五輪~> 04年アテネ五輪、アーチェリーの山本は銀メダルを決めた直後に記者に囲まれた。84年ロサンゼルス五輪の銅以来のメダルに「次は金メダルですね」の質問が飛ぶ。答えは「これから20年かけて金を目指します」だった。選手寿命の長い競技だからこその味のある発言。今年50歳の山本は、8年前を静かに振り返った。 山本 オリンピックの名言は、先に考えていると思っていた。僕が考えたのは、せいぜい「中年の星」ぐらい。考えず、フッと出たのがあの言葉。ただ、メダルなら20年ぶりだというのは頭にありました。2年前の釜山アジア大会で優勝したんです。ニューデリー大会(8