ハイテク日本危機の構図 1993年5月1日[中央公論]より 大幅な減収・減益。日本のエレクトロニクス企業の3月期決算に明るい材料はない。 ただ、ここで気になるのは、その原因を経済状況に求め、政策による解決に期待し、景気さえ回復すれば業績が上向きに転ずるはずだという楽観論が根強いことだ。 しかし、実態はまったくそうではない。そのような楽観論はあてはまらないばかりか、このままいくと、日本のエレクトロニクス企業は間もなく深刻な経営危機に陥ることになる。 企業各社の93年3月期決算見通しが発表され始めている。業界軒並みに減収・減益、日本を代表する大手エレクトロニクス企業もその例外ではなく、「半導体・コンピュータメーカーの先行きに明るさが見えない。大手5社(日立製作所、東芝、三菱電機、NEC、富士通)の93年3月期の経常利益は合計で前期比半減する見通し」(『日本経済新聞』3月2日朝刊)とある。もちろ