政府が世界最高レベルの研究機関を目指し沖縄県恩納村に開設した、沖縄科学技術大学院大学(OIST)。今年1月には2代目学長としてピーター・グルース氏が就任した。グルース氏は欧州随一の研究機関である独マックス・プランク研究所で要職を歴任。現在も独シーメンスの技術顧問団の代表を務めるなど、科学と産業の両面に通暁する人物だ。学長は公募により選ばれたが、思わぬ“大物”の応募に理事会も驚いたという。開学から5年が過ぎ、OISTには成果も求められる時期に入ってきた。グルース学長にOIST運営について聞いた。 ーまずOISTの強みをどのように捉えているか、聞かせてください。 「科学技術分野の大学を成功させるのに必要な環境は、驚くことに意外と少ない。まず、優秀な人材が必要で、独創的な研究をできるように資金的に援助すること。そして若手研究者を採用し、『大きな環境』の中で8人ほどの小グループで研究してもらうこと