山本紀夫氏の「ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争」を拝読した。栽培植物としてのジャガイモの歴史を辿る本で、著者が植物学から文化人類学へ専門を変えた人のためか、技術史の本として面白い。 イモでは力が出ない、聖書に載っていないから不浄だと言う人は、21世紀の現在ではかなりの少数派だと思うのだが、ジャガイモへの偏見は多かったそうだ。本書はこの穀類に劣るジャガイモと言う偏見を打破するのが目的らしいが、この偏見なしでも楽しめる。 1. ジャガイモにおける技術革新 第1章と第2章は、ジャガイモの誕生と初期の農耕技術について語られており、紀元前5000年前の農業分野の技術革新を知ることができる。ジャガイモは中央アンデスに野生種があり、それを食べるようになったのだが、ソラニンと言う毒を分泌しているために、工夫なしでは利用できない。まずは加工技術が進歩して毒抜きと保存が可能になり、次に品種改良によって毒が
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