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ブックマーク / cocodemi.hatenadiary.com (61)

  • 「カールじいさんの空飛ぶ家」 - ここでみてること

    「こんな話つまらないよね?でもこんなのしか覚えていないんだ」 パパとの思い出をべちゃくちゃとしゃべった後で少年ラッセルはしょげた顔をしました。カールじいさんはラッセルのおしゃべりに怒ることもなく、黙ったまま歩き続けました。 誰かとの関係の中でしか、意味を持たないことがあります。それを他人に語ったところで、曖昧な同意しか得られないようなことでも、その関係の中では重要な意味があって、関係に重さを与えているもの。一方で、誰にでも語る事ができて、多くの人から賞賛されるようなものがあります。多くの人の心の中で、ほとんど同じように意味を持つもの。語り得るものと語り得ないものが、人の関係の間には存在します。この映画は語り得ないものの物語。小高い丘に二人でピクニックに行って、流れる雲を見上げながら、鳥や亀を想像したりすることなんて、世界が驚くようなニュースじゃないし、ささやかな人生の中でもスナップ写真を撮

    「カールじいさんの空飛ぶ家」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    実写でやりそうな演出をわざと取り込んで、それを上手く笑いにつないでるんですよね。実写にふんだんにCGを取り込んでアニメーション的な演出を取り入れているのと逆の発想だなあと感心しながら観てました。
  • (500)日のサマー - ここでみてること

    映画館に行くと女性が多いんですよね、レディースディに限らず。まあ、彼女に連れてこられた彼氏とか、奥さんに付き合わされた旦那さんとか、子ども達を連れたお父さんとか、誰かを伴った男性はよく見かけるんだけど、当に男の人ってどこにいるんだ?と、思っていたらちゃんと居ました。この映画、きっと男性の方が深く共感できる映画なんじゃないかなと思います。とってもキュートでクールな女子サマーと、ロマンチックでセンチメンタルな男子トムの、ちょっと切ない恋愛模様を描いた物語。 この映画で一番素晴らしかったのは、トムがサマーに向ける眼差しでした。恋ではち切れそうなトムに対して、サマーはちょっとクールなんですよね。そんなトムの、サマーがすごくかわいくて困ってしまう感じと、どうにかしてもっと仲良くなりたい!っていう熱望を、「いい人」の柔らかさで包んだ眼差しがすごく素敵でした。視線にたっぷりと湿度が含まれてるんだけど、

    (500)日のサマー - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    視線にたっぷりと湿度が含まれてるんだけど、その潤いが一滴たりともサマーに届かないのが|だけど二人の内奥にはもうどうしようもない距離が存在していて、二人ともそれを自覚しているんだけど、そのどうしようもな
  • 「ラブリーボーン」 - ここでみてること

    「ゴースト ニューヨークの幻」を観たのは確か中学か高校生くらいだったかなあ。ろくろを回して粘土をコネコネしながら濃厚なキスをするシーンがすごく色っぽくてどきどきしたのを覚えています。もしあの時この映画を観ていたら、きっとあの甘くて儚いキスシーンに夢中になっていたはず。いやあ、今の私の歳なら「ゴースト〜」の方がぴったりなのに、10代の時にこっち観たかったわ。 ちょっとネタバレしています。 心残りを残して死んだ者がその想いを遂げるまで天国に行くことができない、という物語も、死者が生者に対して何かを働きかけようとする展開も、「ゴースト ニューヨークの幻」と同じなんですよね。でもやっぱり違うところもあると思うので、そこをちょっと挙げてみます。 これは恋愛の成就の話でもあるけれど、家族の再生の話でもあると思います。終盤、犯人の手がかりを得た妹が家に帰り着くと、(娘を失った辛さから逃げるために)家を出

    「ラブリーボーン」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    ここで秤にかけられているのは、真実と生活なんです。生きている者は、この先もずっと生きて行かなければならないから、真実によってそれが困難になるならいっそ知らない方がいいのかもしれない。再生に必要なのは真
  • 「インビクタス 負けざる者たち」 - ここでみてること

    近年ますます精力的に映画を撮り続けている、なんかすごいおじいちゃん、クリント・イーストウッド監督の最新作です。 これまでの映画だったら、きっとマンデラ大統領が選挙に勝つまでを描いていたと思うんですよ。ラグビーのワールドカップよりドラマチックに思えるし、彼の人物像や信念を描くにはそっちの方が分かりやすいだろうし。でもこの映画は、彼が大統領に就任するところから始まるんですよね。いつもの物語の「めでたしめでたし」の、その後の物語とも言えるわけです。 それにしてもこのマンデラ大統領の描写、ちょっとあっさりしすぎじゃないかなあなどと観ながら考えてしまいました。家族とうまく行っていないシーンや、彼の長い刑務所生活の描写とか、ネルソン・マンデラという人間の別の一面を見せるシーンはいくつかあるんだけど、人物伝としてはあまり掘り下げていない気がするんですよ。そもそも主題がラグビーのワールドカップだから、彼が

    「インビクタス 負けざる者たち」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    。彼だけが始めから変化していない。そうすると、彼を中心として何が変わったかが劇的に見えてくるんですよね。その変化の象徴としてラグビーのワールドカップが描かれているんだと思います。そし
  • 「渇き」 - ここでみてること

    まったく予想しない映像が目に飛び込んで来た時、つくづくその映画を観て良かったと思います。感動が前もって提示されている物語は、それはそれで好きだけれけど、何かに感動するということは、心がどう動くのかがまったく分からないからこそ深くなるのではないでしょうか。普段感じることのない、得体の知れない心の動きを感じた不思議な映画でした。 映画を観る前にちょっと時間があったので、映画館のロビーに張り出されていたパク・チャヌク監督のインタビュー記事をちょっと読んでみました。監督によると性と暴力の融合を描こうとした作品ということらしいのですが、私は身体の自由を描いた物語のように思いました。 他者との物理的、破壊的な干渉という点で性と暴力は同じものだと思っています。そしてそれを映像として切り取ることにも、この映画は成功しています。サンヒョン(神父)とテジュ(人)の激しいセックスのシークエンスだけでなく、二人

    「渇き」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    他者との物理的、破壊的な干渉という点で性と暴力は同じものだ|命を相手に差し出すという美しい見方の一方で、相手を自分の色に塗り替えてやろうという暗い欲望も垣間見えます。これはそうやって与奪しながら融合し
  • 「タイタンの戦い」 - ここでみてること

    「ちゃっかりゼウス」 なんでも「聖闘士星矢」にオマージュを捧げたという情報を聞きつけて、観る予定なかったけど私の小宇宙に軽く火が点いたので観て来ました。 デカいものが動く映画が好きなんですよ。無条件で。宇宙船でもいいし、巨大ロボットでも良い。もちろん怪物も。デカい怪物が大暴れするのって、それだけで大きなスクリーンで観てる甲斐があるってもんです。 特にこの映画では「クラーケン」*1の描写が一番良かったです。とにかくデカい。水面を割って、逆光の中で水しぶきを輝かせながら巨体を現すシーンとか、身体の底に響くズドーンとした感覚がすごく楽しい。今回は2Dで観たけど、3Dで観るとより迫力がありそうですね。そいつの足?がドゴンバゴンと街を破壊していき、人々が悲鳴を上げて逃げ惑う。あれ?これってゴジラと同じ展開だなあ。というかむしろこれはゲーム「モンスターハンター」やゲーム「ワンダと巨像」的な「見た目無理

    「タイタンの戦い」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    デカいものが動く映画が好きなんですよ。無条件で。宇宙船でもいいし、巨大ロボットでも良い。もちろん怪物も。デカい怪物が大暴れするのって、それだけで大きなスクリーンで観てる甲斐があるってもんです。
  • 「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」 - ここでみてること

    「景気の悪いときにこそ」 もともとはゲームが原作の作品ですが、物語は映画オリジナルだそうです。ゲームはやったことないけど、(ゲームセンターCXの)有野課長のプレイは観てました。タイムアップがかなり厳しいゲームで、そこらへんのギリギリ感は上手く出ていたなあ。 ブラッカイマープロデュース、と言うとちょっとした映画好きを自称する人ならすぐさま「あんなもの」と鼻で笑ってしまうのかもしれません。「パイレーツオブカリビアン」や「アルマゲドン」など大味の演出が多くて、よく言えば娯楽大作、悪く言えば頭の悪い作品が多いように思います。*1それは私も否定はしません。だってこの作品、呆れるほど頭が悪い。映画という虚構に現実世界の教訓やメッセージを込めるのはとても大事なことだと思うけど、現実世界をそのままなんの加工もせずに持ち込んでどうするというの。 でもだからってこの映画がダメだなんて全然思いませんでした。なん

    「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    、こういう映画ばかり観たいとは思わないですが。少なくとも上映中の2時間、人を飽きずに楽しませるという点において、この映画は娯楽の機能はきちんと果たしているように思いました。
  • 「アイアンマン2」 - ここでみてること

    映画に限らず漫画ゲームでも2作目が1作目を超えるのは難しいということはわりとよく知られているかと思います。目新しいビジュアルでは勝負できないし、また「前作」という枷が迫力や展開を制限してしまうことがままあるからです。だからあまり期待しないで観に行ったんですが…むしろ私は2の方が好きでした!!愛してる!社長!きゃー抱いてー! 前回はトニー・スタークという一人の男がアイアンマンになるまでを描いていました。トニーという人間よりもむしろアイアンマンというヒーローをいかに立たせるかに注力していたと思います。古参のアメコミファンならよく知られたヒーローだと思うのですが、それを私のようにまったく知らない人に新しいヒーローとして焼き付けること。トニーは結局、最初から最後まで「中の人」でした。しかし今回は、アイアンマン体のアップグレードと、トニーの内面の克服がうまくリンクしていたと思います。確かにあまり

    「アイアンマン2」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    この映画においてイワンのやっていることは確かに「悪」ですが、それ以上に恐ろしいのはそれを使う責任を全く放棄している、ということなのではないかと思いました。
  • 「ザ・ウォーカー」 - ここでみてること

    崩れかけた高架橋や、廃墟、そして全体的にトーンを落とした画面がとても良かったです。こういう架空の世界を描く時って、映画という嘘に現実が映り込むのを回避するためにあまり全体像を映さないことがあるのですが、ただただ一直線に伸びる道路や見渡す限りの荒野と大空を大きくゆったりと見せることで「失われてしまった」感じがよく出ていました。こういう空間で荒廃した感じを出せるのは、やっぱり国土が広いからなんだろうなあ。 ただ、ちょっと残念だったのはストーリーが平凡だったこと。うーん、デンゼル・ワシントンにゲーリー・オールドマンという知名度も実力もある役者さんたちを揃えていて画面には見飽きないんだけど…。「荒廃した世界」というイメージをこのド素人の私が想像するように描き出しているんですよね。なんというか想像の範囲内なんですよ。まあそうだろうな、とは思います。この映画は主題である「信仰」を描いているのであって、

    「ザ・ウォーカー」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    途中までザ・ロードの評かと”崩れかけた高架橋や、廃墟、そして全体的にトーンを落とした画面”
  • 「インセプション」 - ここでみてること

    人は何かを拠り所にしてこの世界が「物である」と認識しています。例えば「スプーンを曲げられる」という人に会ったことがあります。まあ実際に曲げられるのかどうかは見ていないので分かりませんが、私が信じている科学的な客観と同じくらいの「強度」で、この方は一般的な物理法則とは少し異なる何かを信じているのだと思いました。それに拠り所にするのは他にも、五感や直感もあるだろうし、他者との関係でもあるでしょう。映画小説に触れることで感じる「何か」、誰かに言われた一言で気がつく「何か」。そう言った「物」を感じること、すなわち私の「世界」を構築するものは様々に存在します。それは文字通り千差万別、その多様性が個人を成り立たせているとも言えます。しかしながらこの映画ではその多様性は表層的なイメージとしてしか表れていません。その世界が何によって支えられているのは実はそれほど問題ではない、むしろその強度がここでは

    「インセプション」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    実を言えば、この映画の伊藤計劃さんの批評が読みたかったです。「世界」に繊細かつ鋭い視線を持っていた彼であれば、違う構造をこの中に観ていたでしょう。この映画は「世界」そのものが主役のような、そんな映画だ
  • 「借りぐらしのアリエッティ」 - ここでみてること

    下手だけどデジタル一眼のマクロで花や植物を接写するのが好きです。見たことのない視点で小さな世界を覗き見ること。映画でも小説でもやっぱり好きなのは、この見知らぬ視点から見る世界の驚きなんですよね。そういう部分で、この映画は想像していたよりもきちんと「小人から見た世界」を描いていてとても面白かったです。特に面白かったのは、音。普段私たちが立てている生活の音が、小人の耳を通して聞こえる音として鳴ると、単に冷蔵庫や戸棚のスケールだけが違う画面にぐっと「それっぽさ」が加わってとても新鮮でした。音ってやっぱり映画の世界を支えている構造の一部なんだなあと改めて思いますね。いやーこのサウンドメイクは文字では伝わらないなあ。それでいて、会話のシーンはその法則をさり気なく無視する適切さとか(実際、小人の声って蚊の鳴くような音にしか聞こえないと思う)小人の世界を音でうまく引き立てていて面白かったです。 この映画

    「借りぐらしのアリエッティ」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    らが借りているものは決して返せない。それでも「借りる」という言葉を使うのは、ひとえに謙虚さだと思うんですよ。お借りしている、だから無駄にはしないでちゃんと使う。こういう姿勢を大事にしようよ、というのを
  • 「ぼくのエリ 200歳の少女」 - ここでみてること

    ホラー映画だと聞いていてかなりびびりながら観に行ったのですが、思ったよりも大丈夫でした。ちなみに私のホラー耐久度は『バタリアンが観れる程度』です。低いよ。 いじめられっこのオスカーは、隣に引っ越して来た少女エリと仲良くなる。しかしエリには人には言えない秘密があった。 子どものある一時期に、特定の友だちとしか遊ばない時期というのがあるそうです。友だちと自分だけの世界。それはいじめっ子や怖い先生がいなくて、誰も二人の仲を邪魔することのない、子どもの狭い世界感に切り取られた、ただひたすら甘く優しい幻想です。しかし現実には、いじめっこは毎日のように悪戯してくるし、親にはそんなこと言えない。誰にも言えない憎悪は心の中で降り積もって、惨めな殺意が生まれて行く。この映画はそういう現実世界から幻想世界への切り取りに、ホラーという手法を持ち込んだのではないかと思います。このエリという少女は、主人公オスカーを

    「ぼくのエリ 200歳の少女」 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    この映画は時間感覚がとても独特で、時間が単に早さ、スピード感を表している都市の映画の感覚ではないんですよね
  • トロン・レガシー - ここでみてること

    コンピュータ技術者のケヴィン・フリンは「グリッド」と呼ばれるコンピュータ世界を創造し、いつか息子のサムにそこへ連れて行くと約束する。しかし父はその言葉を残したまま失踪し、残されたサムはいつかそこへ行く事を夢見ていた。 コスチュームを見た瞬間、びびっと私の「ださい」センスが反応したのは言うまでもありません。というか「コンピュータの世界に入る」そのことそのものがださい。そしてださいと感じながらもすごくその感覚が懐かしいんですよね。かつてコンピュータ技術は、その可能性ゆえに過剰に夢を担っていたと思います。もしかしたら人と対話できるようになるかも、とか生物のように進化するんじゃないか、とか。今では人ときちんと対話するのはちょっと難しいとか、コンピュータ独自で進化するのはちょっと、みたいにだんだん可能性が削られて来ているんですね。それ自体嘆くことではまったくないのだけれど、こういうどーんと過剰に「あ

    トロン・レガシー - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    敵のボスがコンピュータ世界の住人であるプログラムの群衆にむかって「プログラム達よ!」と演説したのには鳥肌が立ちました。こういう人間ではないものにたいしてあたかも人間であるかのように働きかけるという部分
  • キックアス - ここでみてること

    平凡すぎるほど平凡な高校生デイブは、無力で無関心な日々をどうにかしようと自分で思いついたアメコミ(アメリカン・コミック)ヒーロー「キックアス」になりきって自警活動を始める。しかしコスチュームの中は「ただの人」の彼の活動は裏目に出るばかり。そんな惨めな「キックアス」の前にホンモノの(どっかで見たことある)ヒーロー「ビックダディ」とキュートな「ヒットガール」が現れた! 「つっこみ」ってある意味快楽なんだと思うんですよ。隙があると人はつっこまずにはいられないって、やっぱり能的に楽しいからなんじゃないかな。んで、この映画にはほんとにまあってなくらい、いっぱいつっこみました。主に「間違ってる!」と。主人公の高校生にもなって「ヒーローになる!」っていうばかな決断にも、あとはネタバレしちゃうから書かないけどいろいろと「おいおい!」と思うようなつっこみどころが盛りだくさんで、なんていうか当たりやすい的が

    キックアス - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    の映画が映画たり得ているのは、「ヒーローになりたくてもなれない」ということではなく、「ヒーローじゃなくてもやりたいようにやれる」っていうことなんじゃないかな、と思います。だ
  • わたしを離さないで - ここでみてること

    カズオ・イシグロさん原作小説映画です。小説の方を先に読んでから観ました。 !!! ちょっとネタバレあります !!! 多くの子ども達が集まり暮らす施設ヘイルシャムでキャシーは、親友のルースと幼なじみのトミーと共に、時に喧嘩をし、友情を暖めながら成長した。成人して介護者となったキャシーは過去を振り返り、ルースやトミーと再会する。 映画の方は、小説に比べてあの奇妙な現実感のなさという感じは少なく、3人の人物の幼少から最後に至るまでの恋愛感情を軸にした展開で、あの特殊な設定がなければ普通の切ない恋愛ものとして観られるような感じでした。特に私は親友のルースの方に共感してしまうのですが、彼女の欲張りな気持ちとか、嫉妬とかなんだか見ていて切なかったですね。彼女はキャシーよりほんの少し物事に対して積極的なだけなんだろうなと思います。小説の方では情景描写がとても巧みでなんとなくシーンごとにイメージが先にあ

    わたしを離さないで - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    奇跡とかそういう遠い話じゃなく身近な自分の身に降り掛かってる事柄、手の届くところにある事実すら知り得ない、ということにものすごい不安を感じましたね。でもそういう事もあり得ないわけじゃない。この設定は極
  • ガリバー旅行記 - ここでみてること

    ガリバーはニューヨークの新聞社のしがないメール係。同じ新聞社の編集者であるダーシーに想いを寄せているがなかなか打ち明けられない。そんなガリバーはひょんなきっかけからバミューダ・トライアングルの取材旅行のチャンスを得る。たかをくくって気軽に出かけた彼は嵐に遭遇し船ごと海に飲み込まれてしまう。目覚めたガリバーが目にしたのは、小さな人々が自分を不思議な目で見つめている光景だったー。 「スクール・オブ・ロック」や「ナチョ・リブレ」など数々のコメディに出演しているジャック・ブラックさん主演の新作、と聞いて早速観て来ました。というかこれ予告ですでに笑っちゃったんですよね。 このコメディで面白かったのはギャップでした。ガリバーとリリパット人(小人)との大きさのギャップもそうなんですが、中世の世界観そのままのピュアな心のリリパット人と、現代のニューヨークで生きるスレたガリバーとの対比、これが面白かったです

    ガリバー旅行記 - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    人は変われるというけど、なかなかそれを変えるのって難しい。でも都合良く世界の側が変わってくれたらこんなに楽なことはないですよね。でもそれは世界が変わっただけで自分は何も変わらない。それでも、世界に引き
  • 塔の上のラプンツェル - ここでみてること

    昔々、あるところに誰も知らない塔がありました。その塔には髪の長い長い女の子が住んでいました。ラプンツェルというその女の子はお母さんからその塔から出ることを禁じられ、毎年誕生日に夜空を埋め尽くすランタンをいつか近くで見たいと願っていました。そんなある日、盗賊のフリンは偶然その塔を見つけました。中に女の子が住んでいるとも知らず、フリンはその塔を登っていきました。 「昔々」からはじまるおとぎ話を現代で語るのは難しいと思うんですね。みんなその話を知っているから。昔は語り部によって情感豊かに語られ、人々の心に何度も焼き付けられてきた物語は、今はディスクに焼き付けられ何時でも何度でも再生することができます。物語の新鮮さ、というのはとうの昔に失われているんですね。だったらこのラプンツェルの物語も、物語自体の新鮮さはないはず。それでもこの物語は面白かったんですよ。それはなぜかというと、一つは物語の構造その

    塔の上のラプンツェル - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    揺らぎを加えたキャラクター像
  • 星を追うこども - ここでみてること

    !!! ネタバレしてます !!! 「秒速5センチメートル」の新海誠監督のアニメーション最新作。 中学生のアスナは家族や友人に囲まれた平和な日々を過ごしていたが、ときどき近くの小高い山の上で一人、ラジオの周波数をあてどなく合わせて聞こえてくる音に想いを馳せていた。ある日、明日菜はその秘密の場所で不思議な少年に出会う。 ここではないどこか。あの星の彼方。胸が苦しくなるような遠い背中。旅立ちの期待と不安。十代の初めの頃に感じていた、あの胸を焦がすような憧れ。 カズオ・イシグロという、幼少を日で過ごしその後渡米した作家さんが居るのですが、この前テレビで特集*1をしていてその中で、彼の作品から感じとれる郷愁(ノスタルジー)は彼の中で構築された「どこにも存在しない日」に起因する、と述べていました。決してたどり着けない空間にそれがあるとしたら、決して戻れない時間の側にもそれはあるのではないでしょうか

    星を追うこども - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
     カズオ・イシグロと||「わたしを離さないで」
  • スーパーエイト - ここでみてること

    中学生のジョーは仲間たちと8mmカメラで映画を撮ったり模型を作ったりするのが趣味の少年。街の鉄工所で働く母を事故で亡くした後も、彼は悲しみを抱えながらそんな平凡な日常を過ごしていた。ある日映画仲間のチャールズが製作中のゾンビ映画にアリスという少女を誘い、真夜中の無人駅でロケーション撮影を敢行する。撮影は順調に進むかに思われた時、駅を通過した貨物列車に車が激突し、積荷が爆発、周囲は地獄のような有様となった。親たちに内緒で家を抜け出して来た映画仲間たちは一目散にその場から逃走するが、翌日から街は異変に包まれて行く。 親に内緒でなんかする。ってすごく心踊る感じがしませんか。なんの危険もない平和な小さな世界から、何が起るか分からない大きく危険な世界へ、無知というイノセンスだけを持って行く。もう絶対にそんな冒険はできない年になっても、スクリーンで彼らが泣いたり叫んだり吐いたり(笑)しながらがむしゃら

    スーパーエイト - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    母親の死や墓地という死に関する記号をきちんと並べているんですね。その記号が導くのは「長い葬式」なんじゃないかなと思います。この映画の冒頭から最後まで、死者を弔う物語だったんじゃないかな。 キャラクター
  • コクリコ坂から - ここでみてること

    観て来ました。 60年代の海辺の街というノスタルジックな風景のなかでキャラクターがきちんと泣いて笑う、一つ一つの情緒がとても丁寧な映画でした。このゆっくりとしたテンポはかなりぎりぎりの遅さなんじゃないかなと思います。日常化した行為を一つ残らず拾い上げる冒頭のシークエンスや、時々画面がパン(平行移動)する昔の日映画のようなカットは、逆に新鮮な感じがしました。そう、この映画作りはとても古風で実直なのに、なにかが新しいんですよね。 例えば、主人公の少女海(うみ)と年上の男の子の俊との関係は、元々少女漫画が原作らしいのですが、そういうメロドラマな雰囲気で展開していきながら、俊は劇中でくだらないと一蹴してしまうんですよね。深刻な告白のシーンでも、どこか重さが抜けた空気が漂っていて、あっけからんとしてしまっている。でもなにかそれが妙に現代のメロドラマになれない、あっさりとした恋愛の雰囲気を上手くつか

    コクリコ坂から - ここでみてること
    maturi
    maturi 2013/11/10
    このゆっくりとしたテンポはかなりぎりぎりの遅さなんじゃないかなと思います