次に中国の金融について説明してみたいと思います。すこし話しが長くなりそうなので、この節では中国の金融の仕組み特徴、およびその歴史的変遷に焦点を絞ることにします。 一国の金融を鳥瞰する場合、「資金循環表」という統計を使うと便利です。資金循環表では資金のやり取りを(1)家計、(2)企業、(3)政府(中央・地方政府)、(3)金融機関(中央銀行である人民銀行を含む)、(4)海外、の五つの部門間の資金の流れで把握します。表8-4は1999年における中国の資金循環表を簡略化したもので、プラスは需要、マイナスは供給を表します。また、最下段の「資金過不足」とは、それがプラスであれば資金余剰、マイナスであれば資金不足を意味します。例えば、家計部門は1兆898億元相当の貯蓄超過=資金余剰があり、それは1316億元の銀行ローンを加えて現金・預金・証券・保険等で運用されました。