社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 夏に東京ブックフェアに出かけたときに、あまりに面白そうだったので、衝動買いした本。博士論文を本にしたもので、おそらく近代日本思想史において今後、必ず参照されるべき研究と言えるだろう。前川さんは島薗進先生のお弟子さんということだが、先生の問題意識を少し違った角度から継承し、発展させている。前川さんがこの研究に取り組んだきっかけは蔵書整理ということで、そういう資料との邂逅体験というもの、よい歴史研究ではよく見られることのように思う。ともかく、このような形で師弟で学問を進めるというのはなかなか珍しいのではないか、と感じた。 この本は「宗教」概念をめぐる議論、すなわち宗教論が、人格陶冶を導いて、それが国民統治の道具たる国民教育へと展開していく過程を