紀元前7世紀、遊牧騎馬戦士として恐れられたキンメリア人を駆逐して一気に歴史の舞台へ駆け上ったスキタイ人。とはいえ、文字を持たない彼らの実像は、ヘロドトスらギリシャ人の書き残した資料で知る以外、多くが謎に包まれたままでした。しかしスキタイ人は、豪華な金製品が出土することから「草原のピラミッド」とも呼ばれる古墳を、黒海北岸、現在のウクライナに数多く残しました。この古墳から出土する副葬品は、高い美意識によって完成されたスキタイ独特の造型感覚にあふれ、美しいだけではなく、スキタイ人の神話や生活など、さまざまな情景が描かれていることから、スキタイ人の謎を解き明かす貴重な資料にもなっています。 この展覧会では、ウクライナの独立20周年並びに日本との外交関係樹立20周年となることを記念して、ウクライナから門外不出といわれた国宝級の資料がやってきます。展示では、こうした発掘品の調査・研究をもとに、近年、明