『王立宇宙軍 オネアミスの翼』は「若者が作った若者の映画」だった。第343回「『王立宇宙軍』についての賛否両論」で発言を引用したように、アニメージュ編集部の若手編集者だった高橋望は「この映画には、自分達の感じ方、生活、夢が描かれている」と語っている。僕は、そこまで「自分達の映画だ」とは思えなかったが、「分かるなあ」と思った部分は多かった。ある程度は、映画に描かれた価値観や気分に共感できたのだろう。 映画冒頭で、回想とともに、シロツグが自分の生い立ちを語る。自分はごく普通の育ちであり、エリートではないために、夢にみた海軍に入れなかった。夢を実現できなかった人間である事にも共感できたし、彼が、自分が貴族でも金持ちでもない事を、アイデンティティにしているのが、面白かった。そういった自意識の持ち方が、いかにも自分達の世代的だと思った。 僕が一番「分かるなあ」と思ったのは、シロツグがリイクニに初めて