傍観すべきでなかった日本 昨年春、韓国は深刻化する北朝鮮ミサイルへの対応として、中国の反対を振り切って在韓米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備に同意した。中国はこれに怒り、在中韓国企業が不買や抗議の対象になる「ボイコット」運動が起きた。とくにTHAAD用地を提供(譲渡)した韓国企業ロッテ社は中国で展開していた小売店舗を閉鎖、中国撤退にまで追い込まれた。ほかにも韓国を訪れる中国人観光客ががた減りするなどの深刻な影響が生じていた。 10月31日、韓国と中国の外交部は、この問題で手打ちをして、両国間の交流・協力を正常化する中韓合意を発表した。合意文は当たり障りがなかったが、傍らで、韓国外交部長官が①米国とのミサイル防衛構築、②THAAD追加配備の容認、③日米韓3国軍事同盟など中国包囲網への参加の3点に、韓国は応じないという国会答弁をさせられるかたちで、中国に「一札を取」られた。
このブログで以前した拙著への批判への反論に対して、神戸大学の梶谷懐教授が丁寧なコメントをくださったので、コメント返しです。 「超大国・中国のゆくえ4 経済大国化の軋みとインパクト」(丸川知雄教授と梶谷懐教授の共著 東京大学出版会刊)で丸川知雄教授からいただいた拙著への批判に対して、私が拙ブログで反論を試みたところ、今度は丸川教授の共著者である梶谷懐先生がご自身のブログ上で前編、後編の二回に分けて長文のコメントをしてくださった。きちんとしたルールに従って書かれた学者の論文でもない拙稿に対して、丁寧なコメントの労を執ってくださった梶谷先生にまず感謝したい。 梶谷先生からいただいたコメントに対して、改めてコメント返しや釈明をしたい論点は幾つもあるが、以下では3点に絞って書きたい。 (1) 拙著の立場は「清算主義」だとの批判について 梶谷先生は後編で、近著「巨龍の苦闘」で私が「生産性の低いプレイヤ
標題の反論を5回に分けて掲載します 東京大学社会科学研究所の丸川知雄教授が今年2月に刊行された「超大国・中国のゆくえ4 経済大国化の軋みとインパクト」(神戸大学経済学部梶谷懐教授との共著、東京大学出版会刊、以下「本書」と略称)の中で、私の著作を批判しておられることをツイッターで知った。 目を通すと、たしかに、丸川教授が執筆を担当した序章「経済超大国への道」の中で、「中国経済が崩壊すると論ずる著作二冊」の一つとして、私が2年前に刊行した「中国台頭の終焉」(2013年1月日経プレミア刊、以下「終焉」と略称)が批判されている。 私は今月刊行する「巨龍の苦闘」(2015年5月 角川新書刊)でも、中国経済の見通しについて「終焉」とほぼ同じ見方をしているので、丸川教授の批判には応えておかないといけないと思う。 丸川教授からの批判 丸川教授の批判を私なりに要約すると、以下の数点になると思う。 ① 津上は
参照:FT中文網「専欄」 2週間ほど前、フィナンシャル・タイムス中文ネット版に載った許知遠氏のコラムです。読んでみてください。 許知遠という作家が中国にいる。彼とは10年ほど前、北京で一度会ったことがある。当時新興クォリティペーパーだった「経済観察報」が日・中・米三国関係の未来を語るエズラ・ヴォーゲル教授のインタビューを載せたことに興味を覚えて、「主筆」に会いに行ったのだ。 約束場所にしたスタバに現れた「主筆」は、20歳代、長髪の若者だった。中国には、こういう柔軟な見方をする新しい「知識分子」がいるのかと、新鮮な感動を覚えた。彼はその後「経済観察報」を離れて、いまはフリーのコラムニストをしている。 本稿(原題「日本因素))は、2週間ほど前の9月27日、FT中文網(フィナンシャル・タイムス中文ネット版)に載った彼の最新作、尖閣問題に端を発して、彼の「日本観」を吐露する印象深いコラムだ。 植民
前回は尖閣中国漁船問題に特化しましたが、今回は日本の安全保障の課題という、より大きな文脈を論じたいと思います。 今回は日本の安全保障の課題という本論に戻りたい。筆者は、台湾は言うに及ばず、朝鮮半島でも日本が本当に脅威に感ずるような有事が起こる可能性は今日低いと思っている (紙面の関係でこの点は詳述しない)。日本がいま本当に向き合う必要のある安全保障上の懸念は、台湾や北朝鮮ではなく中国の軍拡だ。不断に増強される中国海軍により地域のパワーバランスは日に日に悪化しつつある。 だからと言って中国が日本の南西島嶼部でにわかに軍事行動に出るとは思わないが、清朝末期の戦艦定遠、鎮遠に見られるように、中国の海軍は実際に戦さをすることより相手国を威圧することに存在意義があるようなところがある。そして、軍備の優勢を背景に、まずは武装 「漁業監視船」 が遊弋を始め、次第に相手国に手を出せない状態に持っていく…南
先週29日(土曜)は、朝日新聞オピニオン欄にコメントが載り、夜はNHKBSのグローバルディベートウィズダム「経済大国中国〜世界はどう向き合うか 」(生放送)にも出演、と俄か「売れっ子」だった。尖閣みたいな諍いで出番が増えるのは心中複雑だ。 時期が時期だけに、生放送のディベート番組は緊張した。「尖閣国有化」を批判されたり、「日本の対中経済権益は大きな打撃を被るぞ」と威嚇されたりしたら、どう反論するか、とか事前に考えてしまった。ところが、番組が始まると拍子抜け、第一部に登場した北京大学の査道炯教授は「日中経済関係は全体としては正常だ」と述べ、暴力行為は少数都市で起きた局部現象だと言いたげだった。 この数日、中国のウェブを見たり、昨晩のディベート番組の中国参加者の口ぶりを思い起こしたりして感ずることは、先々週末の中国各地での暴力行為は日本を震撼させただけでなく、中国の知識層、良識人達にも甚大なシ
先週29日(土曜)は、朝日新聞オピニオン欄にコメントが載り、夜はNHKBSのグローバルディベートウィズダム「経済大国中国〜世界はどう向き合うか 」(生放送)にも出演、と俄か「売れっ子」だった。尖閣みたいな諍いで出番が増えるのは心中複雑だ。 時期が時期だけに、生放送のディベート番組は緊張した。「尖閣国有化」を批判されたり、「日本の対中経済権益は大きな打撃を被るぞ」と威嚇されたりしたら、どう反論するか、とか事前に考えてしまった。ところが、番組が始まると拍子抜け、第一部に登場した北京大学の査道炯教授は「日中経済関係は全体としては正常だ」と述べ、暴力行為は少数都市で起きた局部現象だと言いたげだった。 この数日、中国のウェブを見たり、昨晩のディベート番組の中国参加者の口ぶりを思い起こしたりして感ずることは、先々週末の中国各地での暴力行為は日本を震撼させただけでなく、中国の知識層、良識人達にも甚大なシ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く