本文 石貨や貝貨などの「未開貨幣」が近代貨幣である米ドルと共存していることが、ヤップの経済の特徴である。 ◎石貨 家の軒先や集落内などの至るところで無造作に置かれている石貨。「ライ」または「フェ」と呼ばれる石貨は、大きさは様々で直径数cmのものから2.5m以上のものまである。伝統的な貸借関係やお詫びなとの気持ちを表わすツールとして今でも使われている。材料になる石はヤップにはなく、400km離れたパラオなどの他の島でつくり、カヌーで命がけで運んだという。石貨の価値は、大きさや材質で決まるのではなく、その石貨が持つ歴史や物語が価値となる。1929年の日本の調査では13,281枚を数えたが、太平洋戦争中や戦後に壊されたり海外に持ち出されたりしたものも数多い。 日本にも持ち出されたらしく、日本橋にある「日本銀行金融研究所貨幣博物館」で見ることができる。現在では、州外への石貨の持ち出しは一切