この手のプログラムピクチャーは、かつて日本では果てしなく量産され消費されていた。映画は2週間でどんどん番組を変え、2本立上映される。これは昔なら(僕のよく知っている70年代のことだが)その2本立映画の添え物として作られたような作品なのだ。 売れない芸人(香取慎吾)と犬(もちろん、まさお)の友情を描く映画なんて、今時の映画とはとても思えない企画だ。しかも、それを高橋泉脚本、大谷健太郎監督で作る。彼らが今まで作ってきたインディペンデントな映画とは、全く趣を異にするこの素材を得て、2人は自分の個性を消して、どこにでもあったような、ありきたりな映画にして、仕立てる。 毒にも薬にもならない。お話はパターンの域を一歩もはみ出さないし、ベタなストーリーは、おきまりのシチュエーションを遵守する。ここには何一つ可能性はない。なぜこんな映画を作るのか、想像を絶する。 特別なことは何もない。というか、わざと定番