在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。 西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。 今日は、アルー教授をお客様に招いている。アビジャンにあるココディ大学の、歴史学の先生である。先日、コートジボワールの歴史についての市民講座でお会いして、ぜひ一度お話しを伺いたいと、昼食に招待したのだ。 さて、と私はおそるおそる本題に移る。 「アフリカの王制では、病気などで力が弱った王様を、殺してしまうというのは本当ですか。」 王殺しの風習は、アフリカにおける奇習の一つとして、しばしば語られる。社会人類学の元祖、ジェームズ・フレイザー(1854-1941)が、その著書「金枝篇」の中で取り上げて、広く知られるようになった。王には祖先の力と栄光を宿すだけの、活力がなければならないのであり、肉体的・精神的な衰えが見えはじめた王は、自殺を求められるか、身内によって殺害されるというものであ