野口(編)「経済政策形成の研究」第八章に所収されている松尾匡教授の論文「「経済学的発想」と「反経済学的発想」の政策論−マルクス経済学から」は、「経済学的発想」と「反経済学的発想」の相違をマルクス経済学の立場から描いたものである。勿論マルクス経済学は、古典派経済学に対する反論として創造された学問であり、「経済学的発想」に立ったものである。自分自身はマルクス経済学をまともに学んだことも無く、その意味でかなり不安だが、松尾論文から印象的な部分三点をまとめつつ感想を書いてみることにしたい。 1.「経済学的発想」・「反経済学的発想」 松尾教授は、経済学の考え方を受け付ける人と受け付けない人には特徴的な思考方式が存在すると論じる。それが「経済学的発想」と「反経済学的発想」であり、以下のとおりである。経済学的発想からみていくと、自律運動命題は有名な「見えざる手」の発想が代表的だろう。もしくは「合成の誤謬
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