財政赤字の淵源 --寛容な社会の条件を考える 作者: 井手英策出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2012/10/17メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (3件) を見る 目からウロコの財政論。日本がなんでこれほどの財政赤字を抱え込むことになってしまったのか、その原因を、歴史を遡って解き明かす一冊だ。 さて、まずはシンプルに考える。財政再建の方策には2通りしかない。「歳出を減らす」「歳入を増やす」である。 まず思いつくのは「歳出を減らす」ほうだが、著者によれば、すでに日本は諸外国と比べても、十分すぎるほど「小さな政府」である。多いと言われてきた公共事業への投資額はいまやOECD諸国の平均程度に過ぎず、しかも社会保障への支出は先進国中アメリカに次ぐブービー賞。公務員の全労働者に占める比率もたいへん低い。 では「歳入」つまり税収を増やすのはどうか。ここで著者が着目するの