新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化されない中で、定額給付金の再給付を求める声が増えてきた。私は「一律」で「少額(10万程度)」の「現金給付」である定額給付金という政策自体に批判的だが、それはさておき、「現金給付で必要を満たすことは可能か」という視点について考えてみようと思う。 例えば、現在の日本は国民皆保険制度という、「誰もが自由に受けられる医療制度」が確立している。これは厳密には社会保険制度によって運営されており、いわゆる財政政策としてのそれとは制度的な背景は異なるが、仮に、この国民皆保険制度が日本に存在せず、すべての医療サービスが、その他の様々な民間サービスと同様に市場によって提供されているとして、その上で、新たに「誰もが自由に医療サービスを受けられる医療制度及び医療提供体制」の構築を検討したとしよう。 医療サービスの提供体制の基本になるのは、言うまでもなく、そのサービスを提供する労