20年ほど前。今はもう無い吉祥寺のカレー屋で、突き出しとして出てくるキャベツの漬物が苦手だった。マズいワケでは無い。味としては漬物なのだが、たとえば「フルーツの匂いのする消しゴム」のような。確かにフルーツめいた甘い匂いはするが、食べたいとは思わせない。そんな感じだ。 それが「塩漬け」の要領で「味の素」で漬けられた漬物だと知ったのはツブれた後のことだった。 昔から、なぜか、とある人気漫画家が好きになれなかった。 最初に見たのは雑誌のコラムまんがだったと思う。仲間との愉快なやりとりを描いたまんがに、何か違和感があった。なんというか。私を不安にさせる何かが芬芬と漂っていた。 その後、漫画家の生活を元にしたと思われる作品で、「泣ける!」と人気の人情ものを読んで、芬芬と漂っていたのが何なのかがストンと腑に落ちた。 これは「味の素」だ。 純然たるテクニック。「面白い」「泣ける」記号の羅列だ。作者のエモ