李 啓充 医師/作家(在ボストン) (2865号よりつづく) 2009年11月16日に,「合衆国予防医療タスクフォース(United States Preventive Services Task Force,以下タスクフォース)」が発表した乳癌検診についての新ガイドライン(註1)をめぐって,患者・医師団体だけでなく,政治家をも巻き込む大論争が始まった。 医師をも怒らせた乳癌検診の新ガイドライン 大論争となった原因は,これまで,マンモグラフィについて「40歳以後毎年」受けるよう勧めてきた内容を大きく改め,「50歳以後2年に1回」と変更したことにあった。検診の開始を遅らせるだけでなく,頻度も少なくするという内容に,「乳癌を早期発見するなというのか。患者に死ねというのか」とする怒りが爆発したのだった。 メディアも新ガイドラインについて大きく報道,例えば夕刻の定時ニュースは,3大ネットワークとも