(第一回)をお読みの方の一番の疑問は、恐らく以下の点だろう。 「ジョブズのがんは怪しい代替医療に嵌っている間に転移してしまったのだろうか?」 一通り調べた私個人の結論は、はっきりと断言することは出来ない、というものだ(ただし、治療の遅れ自体は一切メリットを生んでいない)。 まず、転移については分かっていないことが多い。むしろ同時多発的なものではないかとの説があり、その説に基づいた予防的な抗がん剤投与は近年成果を上げてもいる。 進行に従い増えていくのは確かだが、現在の技術では微少転移の発見は難しい。何々がんのステージ幾つでは何%程度、は判明しても、その時期の特定までは至難だ。 そして、ジョブズの罹ったがんの種類も問題だ。 膵臓で作られるホルモンのひとつにグルカゴンがある。インスリンと逆の作用を持つホルモンで、肝臓無いのグリコーゲンを分解して血糖値を高めるのだが、ジョブズの場合、グルカゴンの過