論文解釈のピットフォール 【第9回】 臨床試験のエンドポイントを読む――「心血管イベント」はみな同じ? 植田真一郎(琉球大学大学院教授・臨床薬理学) (前回からつづく) ランダム化臨床試験は,本来内的妥当性の高い結果を提供できるはずですが,実に多くのバイアスや交絡因子が適切に処理されていない,あるいは確信犯的に除 去されないままです。したがって解釈に際しては,“ 騙されないように” 読む必要があります。本連載では,治療介入に関する臨床研究の論文を「読み解き,使う」上での重要なポイントを解説します。 臨床試験のエンドポイントを読む-複合エンドポイント解釈の難しさ 前回は,エンドポイントはいわば臨床試験における,例えばある薬剤の優越性を決める際のルールであり,診療への応用を考える上で最も大切なものであるということをお話ししました。本来動脈硬化性疾患では,「脳卒中」「心筋梗塞」「死亡」といった判