岡野のもとで再生医療の研究に取り組む研究員は総勢およそ100人。メンバーは医学の研究者だけでなく、電気・電子工学や材料工学、生物学、薬学、コンピューターなどさまざまな分野にまたがる専門家の混成部隊だ。そうした環境の中からこそ、従来の縦割り型の研究にとらわれない斬新な発想や技術を持つ人材が育ち、そこから誰もやったことのないような新しい成果が生まれると岡野は考えている。 毎週行われる研究発表の場で、岡野は必ず最前列の真ん中に陣取る。そして、発表者に最も多く質問する。常に最新の研究成果に精通し、実験結果の意味や進むべき方向性について考え続けることを自らに課しているからだ。リーダーが最前線に立って全力で走り続けるからこそ、メンバーも全力で走ってきてくれる。再生医療という人類の“夢”にリーダーとして挑む岡野の、揺るぎない流儀だ。