こんなふうに歳を取れたら。クリストファー・プラマーに会ったなら、きっとそう感じるだろう。 この12月で87歳になる彼は、背筋もまっすぐなら、肌や表情も生き生きしていて、10歳さばを読んでも十分通じる。しかし、彼の放つゆとりと自信のオーラは、長年にわたる幅広いキャリアがあってこそ、生まれるものだ。 オンタリオ州生まれ、ケベック州育ち。尊祖父はカナダの第3代首相ジョン・アボット。ピアニストを目指すが、「ヘンリー五世」のローレンス・オリヴィエに影響を受け、俳優に転向する。70年代に初のトニー賞を受賞し、その後も舞台、映画、テレビで活躍してきた彼に初のオスカーをもたらしたのは、「人生はビギナーズ」だった。この時、彼は82歳で、演技部門においてはオスカー史上最高齢の受賞者となる。 オスカーを取ると突然にして良い企画が押し寄せるというのはよく聞く話だが、プラマーの場合も例外ではなかった。今、ますます仕