初期短篇の素晴らしさ/「死と別れ」すなわち「孤独」を書く/はみ出した女たち/「不良」文学へ 二○○一年一月から「瀬戸内寂聴全集」(全二十巻)の刊行が始まる。中短篇・長篇小説・随筆を、それぞれ原則として編年体で編集し、全収録作品に著者による加筆修正が行われている。さらに各巻に、著者自身による書下ろしの解説を収録。二十一世紀の読者に向けて、著者自らが精選した決定版全集となる。 ●初期短篇の素晴らしさ 瀬戸内 私はね、まだ全く世にも出ていない、同人誌にも載るか載らないかという時から、同人雑誌の友だちと全集の話ばっかりしていたんですよ。早く全集を出したいって。ろくに食べるものもなく、水飲んでいてもいつかは自分たちではひとかどの小説家になるって信じていたんでしょうね(笑)。だから、今度ようやく全集を出してもらえることになってうれしくて……。 久世 今回の全集ではまず一巻の短篇群がいいですよね。僕はデ